広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

「お詫び広告」のコレクション

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■「お詫び広告」のコレクション

 クライアントへの情報提供のために、「お詫び広告」を収集する方と一緒に仕事をしていたことがあります。日々の新聞チェックを通じて集めたお詫び広告のうち、回収規模が大きかったり、クライアントにとって参考になりそうだったりしたものは、客先で行われる毎月の報告会で取り上げていました。

 

 典型的なB2Bの会社での経験が長い筆者にとって、お詫び広告は縁遠いものだったので新鮮でした。その方は今でもコレクション?を今も続け、クライアントに報告を行っているはずなので、お詫び広告の蓄積は相当なものだと思います。

 

 お詫び広告は10㎝×2段の形が主流です。一紙だけに掲載するということは通常ありません。なので、任意の複数の新聞社に掲載することになります。例えば朝日新聞毎日新聞、読売新聞の三大紙の全国版に同じ広告を出すとすると、朝日と読売は約350万円、毎日は約240万円かかります。つまり、1000万円近い金額を見ておかなければならないということになります。

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 ■過去最大のお詫び広告とは?

 これまで見たお詫び広告の中で、過去最大規模だったのではないかとひそかに思っているのは、4年前に起きた冷凍食品メーカーの商品に従業員が悪意を持って、農薬を混入させたケースです。この時、全国紙はもちろんブロック紙や地方紙に至るまで3回に分けて掲載されました。

 

 しかも、第2回、第3回のときは、回収対象の商品名と商品写真がカラーで掲載された全面広告でした。こうした広告掲載料金を含め、回収にかかった費用として38億円の特別損失を出しました。

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 この会社が自主回収を発表したのは2013年12月の暮れも押し迫ったころでしたが、この事件をきっかけに食品への異物混入に対するマスコミの関心が一気に高まったと感じます。2014年のカップ焼きそばへの虫の混入、2015年のファストフード大手の商品から各種の異物混入、そして去年はツナ缶への虫の混入が注目を集めました。

 

 「消費者庁リコール情報サイト」には自主回収の対象商品が日々更新されています。お詫び広告を「出す出さない」は任意のものと認識していますが、プレスリリース発表だけでは紙面に掲載されないケースもあるため、保険として広告も打つという意味合いもあると思います。

 

 自主回収をしなければならない場合、プレスリリースによる対外公表が前提としてまずあって、万全を期すために発表した翌日付にお詫び広告が掲載されるように手配するのがよいのと思います。

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人生最期の食事には「春」を楽しみたい

お題「人生最後の日に食べたいご飯を教えて下さい。」

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■人生最期の食事には「春」を楽しみたい

 飲んでいるときに「お題」と似たような話題になったことがあります。その時は、「人生最後の日に食べたいものを『二つ』教えて」というものでした。中には食べたいものなのに「キンキンに冷えたビール」と答えるものがいたりして。6人ほどのメンバーでしたが、「●●(レストラン)の●●が食べたい」という人は一人もおらず、手作り系だったのが印象的でした。

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 かくいう筆者も「春巻きと春雨サラダ」と答えました。どちらも長年家で親しんだ手作りのものをイメージしたものです。どちらもなんてことはない食べ物ですが、外で同じメニューを食べるより明らかに自分の口には合っている気がします。やはり食べ慣れたものを最期にも食したいと思います。

 

 「春」でまとめたのは偶然ですが、そう答えながら「何でどっちも『春」なんだ」と思った記憶があります。春巻きは広東料理なのだそうですが、新芽が出た野菜が具になったことが由来なのだとか。春雨も中国発祥ですが、向こうではそう言わないそうです。半透明な短い麺の形状が「春の雨」を想起させるのだといいます。

 

 そう考えると、普段は意識することはありませんが、「中華料理好き」ということかもしれません。麺類もいいけど「最期の日」にふさわしいかといえば、そうではないように感じるし、かといって●●料理のフルコースなどは「二つ」の縛りに外れるし、何より分不相応だし、決して食べ慣れていないし。

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飲み会で必ず盛り上がる鉄板ネタ

 飲み会のメンバーに応じて、いろんな話題が出てくるものですが、社内の飲み会ならそこにいない同僚の話題がテーマになることも多いと思います。筆者も以前、「昨日何度もくしゃみしなかった?」と聞かれ、何事かと思ったら話題の中心になったのだそうです。会話の中身は怖くて聞いていませんが。

 

 それはそれとして、人畜無害で誰もが思うところがある話題といえば「食」です。「人生最後の日に食べたいものを『二つ』教えて」というしばりなのでお酒は入りませんが、許されるなら筆者なら当然ここにお酒が入ります。

 

 「人生最後の日に食べたいもの」という話題提供の主によれば、「必ず盛り上がる鉄板ネタ」だといいます。確かにそうかもしれないとこの時感じました。その人の意外な人となりを知ることができるし、みんなが参加できるし。

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炎上で人生を壊された人についての本

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「世界最大のネット炎上事件」

 この2月に発売された「ネットリンチで人生を壊された人たち」という本を読みました。新書にしては分厚い本ですが、著者の緻密な取材もあって、とても読み応えがありました。この中で「世界最大のネット炎上事件」のことを初めて知りました。

ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち (光文社新書)

 

 30代の米国人女性による人種差別的なツイートが発端です。ツイートの内容は本に譲りますが、出来の良くないジョークと言えなくもありません。驚いたのは、このツイートをつぶやいた白人女性がIT企業の広報ディレクターだったということです。実名で職場も明らかにしたうえでのツイートだったわけです。

 

 アフリカ行きの飛行機に乗る前に行ったツイートによって、搭乗後に拡散し、「どの飛行機でいつ到着するか」、「到着後のツイート主の写真を撮る」といったことが本人が何も知らないまま、特定されてしまいました。

 

 本来、コミュニケーションやネットに関するリテラシーが高くないとつとまらないとはずの人物が、不用意に行ってしまったのが大炎上のきっかけです。この騒動のせいでこの女性で会社を即刻解雇され、自身の人生が大きく狂うことになります。フォロワーは100人程度だったそうですが、フォロワーの一人がジャーナリストでこの人物がリツイートしたことが拡散のきっかけだったそうです。

 

■ネット炎上と渋谷の交差点

 本にも紹介されていますが、「フェイスブックは知り合いに見栄を張るところ。ツイッターは見ず知らずの他人に本音を言うところ」と。確かにそういう一面はあると思います。先日当ブログでも述べたソフトウェア開発の社長の炎上ツイートもその一つです。

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 先の広報ディレクターやソフトウェア開発の社長のツイートに触れると、「何バカなこと言ってるんだ」と怒りのリツイートを生むのも理解できるところです。以前、読んだ新聞記事に「ネットにモノを書くということは、渋谷の交差点で、ボードを掲げて立っているのと同じ」とあったことを思い出します。

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 渋谷の交差点でボードを掲げても、そのボードをしまえばそれ以上は何も起こりません。しかし、ネットは永遠に残ってしまいます。「ツイート(ボード)を読んでいやな気持になる人がいないか?」ということを「必要以上に」意識しないと「人生を壊されてしまう」こともある、ということをこの本を読んで感じます。

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