広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

(来年こそ)入社式ネタで広報担当者の引き出しを高めよう

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■入社式で登場した会社

 新たな年度がスタートして多くの企業で4月2日に入社式が行われました。毎年この時期、新聞各紙の経済面では業界を代表する企業や話題になった企業の入社式の様子が報じられます。主な新聞の紹介企業は登場順に以下の通りです。(いずれも4月3日付けの紙面。一部はネット経由)

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日本経済新聞
記事中:日立製作所日本生命日立造船ソフトバンク伊藤忠商事楽天KDDI、スバル、JR西日本三菱自動車
社長コメントのみ:三菱商事ソニー、ヤマトHD,ヤフー
写真:日立製作所

朝日新聞
記事中:日立製作所パナソニック、ホンダ、アサヒグループHD、ローソン、ヤフー、神戸製鋼所、スバル
社長コメントのみ 新日鉄住金トヨタ自動車東芝伊藤忠商事清水建設
写真:東芝

毎日新聞
記事中:東芝トヨタ自動車、野村HD、(厚生労働省財務省神戸製鋼所、(地震で被災した2自治体)
写真:東芝
「共同」のクレジットがありますので共同通信の配信記事のようです。

 

■地方企業や不祥事企業にもチャンスがある
 全国紙の経済面の場合、大企業や話題になった企業が毎年誌面を飾っていますが、地方面や地方紙に目を向ければ、地元企業の入社式を取り上げた記事が多数あります。朝日新聞の地方面(千葉版)では成田空港会社や鴨川シーワールドが取り上げられていました。

 不祥事が発覚した企業にとっても同様です。例えば神戸製鋼所では「会社を変えていくには皆さんの声が必要。おかしいと感じることがあれば声を上げ、新しい息吹をもたらしてほしい」「変革を担うのは、変化を敏感に察する若い人たち柔軟な発想力や行動力に期待している」(神戸新聞より)との社長の祝辞が紹介されています。

 

 企業体質の改革へのゆるぎない姿勢を社会にアピールする又とない機会となったはずです。自分が入社した頃のフレッシュな気持ちを思い出しました。

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■入社式ネタで広報担当者の引き出しを高めよう
 「どうせうちの会社なんか取り上げてもらえない」とあきらめるのは簡単ですが、業界紙をはじめ自分たちの会社の動向に関心を寄せている新聞社は必ずあります。今年の入社式は終わったばかりですが、自社とつきあいのある媒体(あるいは今後付き合いたい媒体)がどのような会社を取り上げているかを調べ、「傾向と対策」を知っておくと広報担当者としての引き出しは確実にワンランク上がるはずです。

 そのうえで、来年の入社式に「自分たちの会社を取り上げてもらう」ことを是非意識してほしいと思います。きっとチャンスはあります。

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(今更ながら)「PRプランナー」の資格試験(一次)を受験した

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■PRプランナーの一次試験

 PRプランナーの一次試験を先日始めて受験しました。二十数年もの間、広報周りの仕事をしているので、「何をいまさら」とこれまで敬遠していましたが、会社の勧めもあって受けてみることにしました。もちろんひやかしのつもりはなく、受かることを前提にしてですが。

 とはいえ、それなりの知識や実務経験があるという意識が邪魔をして、勉強に身が入らなかったのも事実だし、「一次試験の合格率が75%だから大丈夫」と高をくくっていたところもあります。真剣に取ろうと思っている人には甚だ失礼な話ですが。

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■公式テキスト・参考図書は必ず読んでおく
 勉強法などと大仰なことを披歴することはできませんが、感じたことを書いておきます。まず、何よりも事前に公式テキスト(あるいは参考図書)を読んでおくことは怠らないほうがいいでしょう。安く済まそうと、市内の図書館で公式テキストを探しましたが、置いているはずもありません。やむを得ず、同じタイミングに受験する人のテキストを一週間ほど借りて読みました。

改訂版 広報・PR概論


 併せて参考図書に指定されている「広報・パブリックリレーションズ入門」や「パブリック リレーションズ」は図書館にありました。いずれも通勤時間(行きは新聞を読むので帰りだけですが)などに、他の本を読みたいのを我慢して向き合いました。

広報・パブリックリレーションズ入門 (基礎シリーズ)

パブリックリレーションズ 第2版 戦略広報を実現するリレーションシップマネージメント

 

 どちらの本も専門書独特の「とっつきにくさ」はありません。比較的平易な内容なので、広報担当者ならPRプランナー試験とは切り離しても、読んでおいたらいいと思います。

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■問題形式を知っておく
 主催者の日本PR協会のサイトに参考問題が掲載されていますので、事前にチェックしておいた方がいいです。4つ以上の選択肢から「もっとも適切なもの」あるいは「もっとも不適切なもの」を1つ選ぶという問題の出し方が大半であることがこれでわかります。念のため、過去問のテキストも人から借りて一読しましたが、一次試験の段階では、わざわざ買うこともないような気がします。


 同サイトによれば、一次試験にはこれまで9千人以上がチャレンジして、7千名を超える合格者がいます。また、三次試験を経て、晴れてPRプランナーになれた人は全国で約2500人(2018年1月受験者までの累計)います。今年で資格ができて10年になるのだとか。

 

 一次試験に受かると「PRプランナー補」、二次に受かると「准PRプランナー」。どちらも別途申請手続きが必要です。いずれにしろPRプランナーになるにはもう少し時間がかかりそうです。(苦笑)

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通訳案内士試験の大幅難化がもたらす弊害

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■「『全国』通訳案内士」とは

 有料で通訳案内業務を提供するのに、本年1月から資格が不要になりました。増加を続ける訪日外国人観光客の受け入れ環境の整備を図る一環とされています。「そもそも資格なんか必要だったの?」と思う人が多いでしょうが。

 その資格というのが通訳案内士です。れっきとした国家資格ですが、このたび業務独占が崩れ、資格の名称も「『全国』通訳案内士」と改められました。つまり、誰でもその気になれば有料で通訳兼ガイドをやれるようにはなりましたが、バックグラウンドのないガイドは「信用」という点では資格保有者に比べて大きく劣ることになります。

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 通訳ガイドが足りないのなら、業務独占を維持しつつ、資格要件を緩くして保有者を増やす機会を増やせばいいと思います。しかし、そうはなりませんでした。2018年度以降の通訳案内士試験は現行の四科目(言語、日本歴史、日本地理、一般常識)に通訳案内の実務の科目が新たに三つ加わるようです。

 

 しかも筆記試験の免除の要件も厳しくなります。例えば英語ではTOEICが840点以上でこれまでは免除されましたが、これが900点以上に引き上げられます。しかも試験から1年以内の取得に限られます。受けたことがある人にはわかりますが、TOEICの840点と900点ではかなり違います。少なくとも私には無理です。。

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■試験の難化がもたらす弊害
 試験の詳細は今後の観光庁の発表を待たなければなりませんが、新たに加えられるのは「旅程の管理に関する基礎的な項目・関係法令に関する基本的な知識」、「外国人ごとのの生活文化への対応」そして「危機管理・災害発生時における適切な対応」の三科目とされます。これはこれで必要な知識なのでしょうが。ちなみに受かった人もこれらの内容の研修を受けることが義務付けられました。

 

 スキルの高い通訳案内士を輩出するなら必要な知識であることは理解できます。ならば、最初からそうすべきでしょう。途中から大きく試験内容を変えるのは、いかがなものかと思います。難化前に受かったからと手放しで喜ぶ気にはなれない「改悪」です。

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 これから目指そうと考える人たちには何とも気の毒な試験の見直しです。そもそも通訳案内士の資格はせっかく取れてもそれだけでは残念ながら「食えません」。観光庁が行った「通訳案内士の就業実態等について」によれば、実に76%の人が通訳案内士としては未就業です。専業として身を立てている人は6%にとどまります。また、資格取得の動機も「就業するため」(54%)を抑えて「語学力を証明するため」(63%)が第一位でした。

 

 今回の難化で志半ばであきらめてしまって、さらになり手が減ってしまうんじゃないかと危惧します。せっかく2020年という追い風があるのに。

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