広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

ふるさと納税するときに注意すべきこと(確定申告する人向け)

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■「ワンストップ特例」は確定申告をしない人向け

 去年初めて「ふるさと納税」をしました。地方自治体への寄付を通じてささやかな経済的な支援をする制度です。筆者のように学生時代に住んだ地域に寄付することもできますが、かかわりがなくても、その地の特産物狙いで寄付することもできます。

 

 初めてでも「確定申告をしない人」なら、手続きもかなり簡単です。それでも自治体から送られてくる書式に記入し、マイナンバーカードの写しとともに返送する必要はありましたが。これが、いわゆる「ワンストップ特例」というものです。

 

 給与所得者なら「ワンストップ特例」を利用すれば、確定申告ナシでふるさと納税の寄付先の自治体が5つまで利用でき、納税後の税額控除の手続きが完了します。年収等に応じて寄付の上限額(控除上限額)がありますが、所得税の還付や個人住民税の控除が受けられ、実質的な自己負担額を2,000円にすることができます。所得税の場合は当年分から、個人住民税の場合、翌年6月以降分から減額されます。

 

 例えば、A市に3万円を寄付して返礼品を受け取りますが、自己負担は2千円だけということになり、残りの2万8千円が控除の対象となります。

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■確定申告をする人はワンストップ特例が使えない

 筆者の場合、確定申告をしていますが、ワンストップ特例制度が使えるものと勘違いしていました。確定申告をする人は自動的にワンストップ特例の対象から外されることを知りませんでした。

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 つまり、確定申告の際に寄付控除を申告しないと、2千円ではなく、3万円で返礼品を受け取る結果となります。余裕がある人ならそれでもいいと感じるかもしれませんが、できれば特典利用したほうが断然お得です。

 

 確定申告した後にそのことに気がついたので困りました。ネットで調べると「更生の請求」と言う手続きをすれば、寄付金控除の適用が受けられることを知りました。用紙は税務署のHPでダウンロードが可能です。

yourbengo.jp

 

 税務署に直接電話して聞くと、更生の請求のための用紙に必要事項を記入し、提出済みの確定申告のコピーやマイナンバーカードの写しなどを同封して提出すればよいと。ということで、筆者が去年行った寄付額3万円とその寄付を証明する「受領書(寄附金受領証明書)」を添付して最寄りの税務署に郵送しました。

 

 寄付金控除の欄には何のためらいもなく「3万円」と書きましたが、税務署から後に連絡がありました。ここに記入すべき金額は「2万8千円」だということでした。書類の再提出の必要はなく、必要な修正は税務署でしてくれるそうです。

 

 確定申告する際は自己負担分である2千円を引いた額を記入するものだと知りました。GW中ということでふるさと納税を検討する人も多いと思いますが、確定申告する人は注意が必要です。

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米国ではほとんどない(公開の)謝罪会見

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■近年の謝罪会見
 半年ほど前に「業種を問わない近年の謝罪会見」というコラムを別のところで書きました。この中で、「企業」と「不祥事」が含まれる新聞記事が2013年から2016年まで右肩上がりで増えていると。(ちなみに2013年432件、2014年485件、2015年554件、2016年621件。全国紙5紙が対象)

 今回、2017年の件数を改めて調べると688件で2013年に比べて1.6倍増えています。また、「謝罪」と「会見」を記事に含む件数は2593件、これに「社長」というキーワードを追加すると381件でした。まさに「業種を問わない謝罪会見」が毎日のように行われている計算になります。

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■米国ではほとんどない(公開の)謝罪会見
 日本では記者会見を開いて企業のトップなどが謝罪をするのが一般的ですが、米国では記者会見を開いて公開謝罪をすることはまれなのではないかと思います。3月に膨大な個人情報の漏えいが発覚したFacebookの場合、同社CEOであるマーク・ザッカーバーグは「自身のフェイスブックとCNNへの出演を通じて初めて公開謝罪をした」と伝えられています。

 3月17日の米英の有力紙の報道がきっかけで問題が発覚しましたが、「公開謝罪」をしたのは3月21日でした。当初5000万人とされた個人情報の流出は、4月に入って最大8700万人に上った可能性があると発表しました。その後、10日と11日に複数の公聴会で証言を行いましたが、これまでのところ謝罪を伴う記者会見を開いた形跡はありません。(その後、電話会見はしたと日経の報道にありました。)

www.nikkei.com


■米航空会社の乗客引きずり下ろし
 ちょうど1年前に米ユナイテッド航空の職員が乗客を強引に引きずりおろしたという前代未聞の出来事がありました。乗客はこの時に鼻の骨を折るなどのけがを負いました。同社のCEOは、声明(プレスリリースのようなもの)の中で乗客に謝罪しましたが、会見は行っていません。

 それからほどなくして会社側とけがをした乗客との間で和解が成立しましたが、「金額は公表しない」ことが和解条件の一部だったといいます。おそらく会社側は高い代償を払ったのだと思います。

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 日本では法的責任もさることながら道義的責任が取ることが重視されています。一方、欧米では法的責任と道義的責任ははっきりと区別されます。ユナイテッド航空の場合、道義的な謝罪を会見ではなく声明を通して行い、法的責任は弁護士を介した和解金で決着しました。

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(来年こそ)入社式ネタで広報担当者の引き出しを高めよう

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■入社式で登場した会社

 新たな年度がスタートして多くの企業で4月2日に入社式が行われました。毎年この時期、新聞各紙の経済面では業界を代表する企業や話題になった企業の入社式の様子が報じられます。主な新聞の紹介企業は登場順に以下の通りです。(いずれも4月3日付けの紙面。一部はネット経由)

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日本経済新聞
記事中:日立製作所日本生命日立造船ソフトバンク伊藤忠商事楽天KDDI、スバル、JR西日本三菱自動車
社長コメントのみ:三菱商事ソニー、ヤマトHD,ヤフー
写真:日立製作所

朝日新聞
記事中:日立製作所パナソニック、ホンダ、アサヒグループHD、ローソン、ヤフー、神戸製鋼所、スバル
社長コメントのみ 新日鉄住金トヨタ自動車東芝伊藤忠商事清水建設
写真:東芝

毎日新聞
記事中:東芝トヨタ自動車、野村HD、(厚生労働省財務省神戸製鋼所、(地震で被災した2自治体)
写真:東芝
「共同」のクレジットがありますので共同通信の配信記事のようです。

 

■地方企業や不祥事企業にもチャンスがある
 全国紙の経済面の場合、大企業や話題になった企業が毎年誌面を飾っていますが、地方面や地方紙に目を向ければ、地元企業の入社式を取り上げた記事が多数あります。朝日新聞の地方面(千葉版)では成田空港会社や鴨川シーワールドが取り上げられていました。

 不祥事が発覚した企業にとっても同様です。例えば神戸製鋼所では「会社を変えていくには皆さんの声が必要。おかしいと感じることがあれば声を上げ、新しい息吹をもたらしてほしい」「変革を担うのは、変化を敏感に察する若い人たち柔軟な発想力や行動力に期待している」(神戸新聞より)との社長の祝辞が紹介されています。

 

 企業体質の改革へのゆるぎない姿勢を社会にアピールする又とない機会となったはずです。自分が入社した頃のフレッシュな気持ちを思い出しました。

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■入社式ネタで広報担当者の引き出しを高めよう
 「どうせうちの会社なんか取り上げてもらえない」とあきらめるのは簡単ですが、業界紙をはじめ自分たちの会社の動向に関心を寄せている新聞社は必ずあります。今年の入社式は終わったばかりですが、自社とつきあいのある媒体(あるいは今後付き合いたい媒体)がどのような会社を取り上げているかを調べ、「傾向と対策」を知っておくと広報担当者としての引き出しは確実にワンランク上がるはずです。

 そのうえで、来年の入社式に「自分たちの会社を取り上げてもらう」ことを是非意識してほしいと思います。きっとチャンスはあります。

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