ポジションペーパーとは?
事件や事故のようなリスクが発生したら、何はともあれ「ポジションペーパーを作りましょう」というようなことが、しばしば広報の現場で言われます。しかし、私はこの「ポジションペーパー」という言葉に、誤用というか誤解を含んでいるように感じています。
その理由は、内部向けなのか外部向けの文書なのかという点があいまいなまま、両方の意味で使われて続けているからです。
例えば、広報に関する指南本に目を通すと、ポジションペーパーとは「共有された情報を整理し、新たな情報が入るたびに、更新して、資料としてまとめたもの」(「広報・PR実務」 日本PR協会編)とあります。
また、別の本には「各部署から集まる情報を“情報マスター”に集中させ、全体の流れを文章にして整理し、真偽の評価まで加えた文書」(「企業不祥事・危機対応 広報完全マニュアル」 山見博康著)とあり、いずれも「内部文書」だということがわかります。
ところが、私が広報担当になりたての90年代半ば頃に、上司から勧められて読んだ本(「広報110番」電通PRセンター著)には、「事の経緯や事実関係を第三者にわかるようにまとめた説明文書」とあり、いわゆる「統一見解・公式見解」だと解説されています。
英和辞典を調べるとposition paperの訳として「(企業などの特定の問題に関する)方針説明書」とあり、やはり「外向けの文書」であることがわかります。
ちょうど2年前の今頃は、尖閣諸島をめぐり、日中関係が険悪になった時期でした。2013年の1月30日に東シナ海において、中国海軍艦艇から海上自衛隊護衛艦に対して火器管制レーダーが照射され、これを受けて、日本の立場を示したものが外務省のHPに掲載されています。「尖閣諸島をめぐる日中関係 中国による火器管制レーダーの照射を受けて」と題したものですが、これが本来の意味のポジションペーパーだと思います。
広報・PR実務―PRプランナー資格認定制度2次・3次試験対応テキスト
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