広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

週刊誌編集長に伺った話

 

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 会社では仕事柄、いくつかの雑誌を定期購読しています。その中に総合週刊誌の週刊文春週刊現代が含まれます。以前のブログ記事(スマホシフトで起こること)で雑誌の売り上げがふるわないことを取り上げましたが、個人的には毎週楽しみに読んでいます。

「スマホシフト」で起こること - 広報パーソンのつぶやき

 

 雑誌の編集長という立場になると様々なところで話をすることが多いと思いますが、両誌の編集長を務めた方のお話を以前伺ったことがあります。時間が経っていますが、体制や取材方法は今でも大きくは変わっていないと思うので、備忘のためにまとめておきます。

 

週刊文春の編集長(2011年に伺った話です。)】

 週刊文春の1週間は発売日である木曜日から始まる。11時に30人ほどいる記者全員で企画会議を行う。午後のデスク会議でネタを絞り込み、取材をスタートさせる。東日本大震災が発生したのは金曜日だったが、当然のことながら、予定していた記事はすべて跳んでしまった。ほとんどの記者は取材中だったが、戻ってくるように命じ、当日の夜に11人を3班(車で福島入り、青森経由岩手入り、山形経由宮城入り)に分けて現地へ行かせることになった。現地入りした記者たちは結局、ゴールデンウィークの合併号まで現地にとどまり取材活動を続けることとなった。

 

 週刊文春ではかつて50~60歳代の男性をターゲットにしていたが、今では30後半~50歳台の女性が読者の半数を占めるため、これらの層に読ませる企画が重要だ。

 

 現在、56名の編集部員がおり、ニュースを取材する特集班、グラビア班、そして文化人コラムなどの連載班がある。特集班は金曜から月曜にかけて取材を行う。取材状況を土曜に確認し、記事を組み替えることもある。記事の入稿は月曜から火曜にかけて行われ、火曜に校了、水曜が唯一の休みである。

 

週刊現代の編集長(2007年に伺った話です。)】

 週刊誌の長期低落傾向は変わらない。インターネットの普及に加え、ブログやSNSなどの新メディアの台頭で、「個人のメディア化」が進み、目も肥えてきた。従来だとセミプロでもそれなりにお金になっていたものが、今ではよりプロフェッショナルな方向に進んでいかないと読者の支持は得られない。読んで楽しんでもらえるような週刊誌作りを心がけている。

 

 エンタテインメント性を重視しつつ、厳しい球際を責めているつもりだ。どこかの新聞社が「新聞を疑え」というコピーを使っているが、今はまさに「新聞を疑う時代」といっていい。「日本の真相」をレポートしているはずのテレビや新聞が心細い状況にある中で週刊誌のあり方も変わってきている。かつては部数減を食い止めるためのキラーコンテンツヘアヌードだったが、もはやネットにかなわない。“袋とじ”の頻度も昔は年に1回程度の貴重なものだった。

 

 現在、編集長の下に編集次長が3人おり、グラビア、事件、経済を担当している。この下に副編集長が数名おり、制作、編集、ライター、カメラマンなど総勢100名程度(このうち60名程度がレギュラー)で動いている。おそらく他誌もほぼ同様の布陣だと思う。編集長にリリースなどを送っていただいても意味がないが、副編集長以下にはどんどん情報を提供してほしいし、(広報担当者との)意見交換も有難いことである。