リリース初心者におくる3つのツボ(前編)
広報担当者のほとんどの人がニュースリリース(以下リリース)の作成経験があると思います。発表すべき「事実」は一つしかありませんが、作成者のスキルや経験値によって十人十色のリリースができます。
取材対象のネタ探しに96%の記者がリリースを使うというアンケート結果もありましたが、それだけマスコミに注目される資料だということです。当然といえば当然ですが。だからこそ、我々広報担当者は、ゴミ箱行きを遅らせるように知恵を絞らなければなりません。
一つしかない事実をいかに魅力的なリリースとして生まれ変わらせるか。これまでの経験から感じたリリース作成にまだ慣れていない「初心者におくる3つのツボ」を紹介します。前編ではこのうちの2つをお伝えします。
①タイトルが全て
以前のブログでも「内容が一目でわかるタイトルであること」が大事だと書きました。ブログを書かれる方ならタイトルの重要性は理解いただけると思いますが、リリースではさらに重要な意味を持ちます。
リリースの配信事業をグローバルに展開する会社の方も「見出しを読むマスコミは10人のうち8人、内容まで読むのはそのうち2人に過ぎないというデータがある」と言っていましたが、その感覚はよくわかります。
また、民放の人気経済番組のプロデューサーを務めた方も「良いリリースとは、内容が5秒で理解できるもの」と断言していました。
「良いリリースとはつまり良いタイトルである」ことがわかったとして、「どうすれば良いタイトルを付けられるか?」という疑問を持つと思います。「タイトルはこれしかない」という場合もありますが、そうでない場合は、いったんタイトルのことは忘れて、本文の制作を始めることをおススメします。
いくらタイトルありきではあっても、それだけでリリースが成り立つわけではありません。本文を書き始めていくうちに、発表したい事実の理解度が増し、強調すべきポイントや背景にも思いを巡らすことができるからです。
書き進めているうちにタイトルをどうするかということが再び頭をもたげてくるはずなので、そこで改めてタイトルを考えるようにします。
タイトルは簡潔に、出来れば一行以内におさめるべきですが、そうならない場合もあるでしょう。その場合、サブタイトルを付けて、タイトルを文字通り補足するようにすることでメリハリをつけることができます。
②リード(第一段落)に最も伝えたいことを
先ほどの元プロデューサーによれば、「30秒かけて内容が理解できないリリースはそもそも『ニュース』じゃない」とも言っていました。ですので「勝負の分かれ目」はリードまでで決まってしまいます。
リードの構成としては、文の数は多くて3つ。一文が冗長にならないようにしなければなりません。さらに3行から長くても5行程度までにおさめるべきです。リードとはいわば、長めのタイトル。ここまで読んで、何の発表かわからないようではいいリリースとは言えません。
海外の企業の例で、リードに「伝えたい5W1H」を箇条書きにして記載してあった英文リリースがあったという話を聞いたことがあります。おススメしたい方法ではありませんが、他のリリースと差別化できるという点では、面白い試みだと思います。
脱線しますが、リリースの構成要素として5W1Hが大事だということがよく言われます。これにF(FUTURE)を足して、将来予測を加えたり、下図のように5W5Hとすることもあったりします。それはそれで、どれも一理あると思います。
後日、後編で「中学生が読んで理解できる内容を目指せ」をお伝えします。