リリース初心者におくる3つのツボ(後編)
先日紹介した「リリース初心者におくる3つのツボ」の後編です。
③中学生が読んで理解できる内容を目指せ
リリースは通常、A4サイズの紙に1~2枚で構成されます。タイトルとリードで記者の関心を喚起できたら、本文まで読み進んでもらうことができます。この時に気を付けたいのは、誰が読んでも一定の理解をしてもらう工夫をしているかどうかです。
あえて、「中学生が読んで理解できる」としたのはマスコミを軽く見ているという意味では決してありません。たとえ担当になって間もない記者であっても幅広い知識と好奇心、そして取材網であっという間にキャッチアップしてしまいます。
ただ、業界に対する専門知識が高い記者ばかりではない、だからこそ、平易なリリースを心がけなければならないと思います。わかりやすい文章にするには複数の人に見てもらうことが近道です。
リリースの最初の受け取り手は記者ですが、発表されればほどなく、HPに掲載されることになるでしょう。そうなれば、あらゆるステークホルダーからアクセスされ、SNSを使って拡散されていくこととなります。
なので、わかりやすくするのはもちろん、業界内にしか通用しないような専門用語、カタカナの乱用などは避け、どうしても使う場合は注釈が不可欠です。
日本で唯一の自然科学の総合研究所である理化学研究所は、文系脳の筆者では、まるで太刀打ちできない研究を行っています。その研究成果も難解であることは想像に難くありません。
しかし、HPに載っているニュースリリースを読むと、難しい研究成果を何とかわかりやすく伝えようとする姿勢が随所にあって好感を持ちます。
例えば「光遺伝学によってマウスのうつ状態を改善 ―楽しかった記憶を光で活性化―」というリリースを6月18日に出していますが、「発表リリースとは別に『60秒でわかるプレスリリース』」、「要旨、背景、研究手法と成果、今後の期待」に項目分け」、「専門用語の注釈も丁寧」、「イメージ図も使って理解促進の手助け」という4点でそれを感じます。
「わかりにくい内容をわかりやすく説明する」ことこそが、広報担当者に求められる原点だと感じます。昨年、ゴタゴタのあった理研ですが、名誉回復に広報活動が寄与することを期待したいと思います。