スマホの猛威を感じる2つの調査結果(後編)
先日の記事の続きです。
「メディア定点調査」でもスマホの影響が顕著に表れています。1日あたりのメディア総接触時間は、2006年に比べると335分から384分と増えています。その最大の理由は、言うまでもなく「スマホ(携帯電話含む)の利用」です。
■スマホ(携帯電話含む)の接触時間は9年間で8倍
2006年の調査ではわずか11分(!)だったのに対し、今回の調査では80分と大きく伸びました。一方、テレビや新聞などの従来メディアはそれぞれ減少しています。
総接触時間に占めるスマホの割合は、若年層ほど顕著で、15~19歳では男性38%、女性39%、20代では男性30%、女性43%でした。全体では21%にとどまっており、若年層への生活様式に欠かせない存在になっていることが伺えます。
■スマホがあればパソコンは不要?
四マス媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)への接触時間の減少はすでに述べたとおりですが、パソコンへの接触も、2011年の82%をピークに68%と下がっています。特に、15~19歳のパソコン接触率は男性13%、女性12%に過ぎません。まさに「スマホがあればパソコンは不要」ということでしょうか。
確かに、若者の間で深く浸透しているSNSやゲーム、動画の閲覧や音楽の視聴、乗り換え検索、写真や動画の撮影もスマホで対応できるので、「これさえあれば、これがなくては」と思うのは理解できます。
ただ、レポートの原稿もスマホで書く大学生が多いという記事を去年、読んだ時はさすがにびっくりしました。大学生の「予測変換が出るから、長文でもかえって早く打てる。キーボードで打つ方が、よほど時間がかかる」というコメントも紹介されていました。
■広報担当者は変化にどう向き合うべきなのか
テレビや新聞のメディアとしての影響力は当面、保ち続けるとは思います。しかし、それと同時に限界も今回の調査結果で見えてきたような気がします。
スマホによって、情報を能動的に取捨選択できるようになり、個々が関心を示す情報を解析して自動的に配信してくれるキュレーションメディアのユーザーも着実に増えています。
興味がない情報や広告には、これまで以上に関心を示さなくなったし、触れる機会も少なくなりました。関心のない人に関心を向けさせることが難しい時代ともいえます。
■オウンドメディアの今後に期待
一つの解決策と思うのが、オウンドメディア(自前のメディア)です。オウンドメディアとは「自社所有のメディア」を指し、企業それ自体、提供している商品やサービスの価値を高める情報を提供する場(ウェブサイトやSNS等)とされます。
ソーシャルメディアやスマホが普及したことで、企業とステークホルダーがダイレクトに接する機会が生まれ、そのつながりを深めることも可能になりました。
オウンドメディアをハブにして、情報発信力を高めれば、本当に必要な情報を求める人たちに効率よくアクセスしてもらうことができるようになります。また、情報が継続的に発信されるので、コンテンツが蓄積され、消えることのない資産となります。
情報発信力といっても、単にウェブ上に多くのコンテンツを掲載すればいいというのでなく、企業目線ではなく利用者目線でなければならないということ。簡単なようで難しい命題ですし、筆者も試行錯誤の真っ最中です。
利用者イコール四マスとするなら、広報担当者が日常的に行っている活動そのものです。その意味でも、オウンドメディアに活路を見いだせるのではないかと考えています。