広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。

”free publicity”と”paid publicity”の境界が無くなってる?

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 企業や団体がマスコミに提供する情報を掲載するかしないか。掲載の決定権が企業側にあるのか、それともマスコミ側にあるのかという点が、広報と広告の最も大きな違いです。

 

 広報は、ニュースリリースやインタビューといった情報提供手段を通じて(無償で)報道として取り上げられることを企図したものなので、掲載の決定権は当然、マスコミ側にあります。

 

 "publicity"という単語があり、広報活動を表す言葉として理解していました。改めて辞書(英次郎on the WEB)を調べると、意外なことに広報だけでなく宣伝も意味することを知りました。

publicityの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク

  1. 〔活動または組織を表す〕広報、宣伝◆【用法】名詞の前で形容詞的に用いられることが多い。
  2. 〔宣伝によって作られた〕注目、評判、知名度
  3. 広報内容、宣伝記事
  4. 公開、周知、知られていること

 

 なので、我々が日常的に行っている本来の意味の広報は"free publicity"というべきなのでしょう。

 

 "free publicity"の対義語として"paid publicity"というものがあります。記事の体裁を取りつつ、スポンサーの意向に沿った「広告」です。「PR」、「提供/●●会社」といった表記を記事の文末などに入れることでそうとわかるようにする決まりです。いわゆるタイアップ記事ですが、これはこれで意味のある広告手法です。

 

 最近、「ネイティブ広告」という言葉を聞くことが増えましたが、これも"paid publicity"と同義のものと理解しています。ネット上に見られる「自然な広告」をそう呼ぶようです。

 

 Yahoo!ニュースでは、「編集コンテンツと誤認させて広告を届ける行為(ステルスマーケティング、いわゆるステマ)に対する考え」と題した「お知らせ」が7月末に掲載されました。Yahoo!ニュースに記事が転載されると、その拡散力は絶大なものがあり、それが広報担当者の大きな目標の一つでもあります。

staffblog.news.yahoo.co.jp

 

 確かに一定の対価を払ってニュースサイトに記事を書いてもらうケースが行われている事例を見聞きします。広告表示をしておらず、通常の記事に紛れ込んでいるので「ステマステルスマーケティング)」と誤解を受けるのも当然です。

 

 ニュースサイトは大手マスコミと違って少数で運営しているものが大半です。「掲載してもらいたくても、記事にもらうことが難しい」場合は、広報担当者が「力技」で少しでも露出を獲得したいというのは心情的に理解できます。境界のはっきりしないパブリシティ?が生まれる要因には「誰も損をしないし」という意識もあるのだと思います。

 

 ニュースサイトがYahoo!ニュースと提携していれば、編集部の目に留まって「あわよくば転載される」可能性もあるわけで、対価を払ってでも、記事にしてもらおうとする事例があるのだと思います。Yahoo!ニュースに記事が転載されると、その拡散力は絶大なものがあり、それが広報担当者の大きな目標の一つでもあります。

headlines.yahoo.co.jp

 

dw.diamond.ne.jp

 Yahoo!ニュースが指摘しているように「記事内容に対する信頼が損なわれるだけでなく、読者、広告主様との信頼関係をも損ない、ひいてはYahoo!ニュースが長年かけて構築してきたサービスそのものへの信頼を大きく揺るがす重大な問題」と捉えるのも無理はなく、記事まがいの広告が横行していることは健全とはいえません。

 

 あくまで"free publicity"は"free publicity"として、企画やコンテンツで勝負したいと感じます。