広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。

東芝の不正会計問題における広報対応

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 東芝の不正会計問題は今年の4月3日の発表が発端とされています。この日、「2013年度の会計処理において、調査を必要とする事項が判明したため、特別調査委員会を設置する」という3枚もののリリースが出されました。

 

 この中で、「業績への影響があるかも」と匂わせているものの、ここまで大きな問題になるとは多くのマスコミが予想していなかったと思います。同社の個人株主の一人である筆者ですが、ホルダーであることを後悔することになるとは、この時点では思っていませんでした。

 

 ゴールデンウィーク明けの5月8日に「第三者委員会の設置」と「昨年9月に発表した2014年度通期の業績予想を修正し、『未定』とし、決算発表を延期する」そして、「2015年3月末の配当を無配とする」ことをそれぞれ発表しました。それから5日後の13日には、過年度決算の500億円強の営業損益の下方修正を発表しましたが、その発表時刻は夜の11時45分と伝えられ、東芝社内の混乱ぶりがうかがい知れます。

biz-journal.jp

 

 第三者委員会の設置、決算発表の延期、無配転落…。東芝のような日本を代表する企業によるネガティブ情報が次々に発表されましたが、この間、リリースの投げ込みだけで記者会見は一度も開かれていません。全国紙の経済部記者は「これだけ重要な内容なのに会見が開かれないのは信じられない。びっくりする対応だ」と述べていました。

 

 そうした声もあってか、5月15日にようやく田中久雄前社長による記者会見が開かれ、不正会計問題について陳謝しました。しかしこの場の説明では「第三者委の委員の選任」や「下方修正を発表した過年度決算の500億円強の内訳」にとどまり、具体的な不正の中身の解明には程遠いものでした。

 

 5月29日に田中前社長が再び会見を開きました。「有価証券報告書の提出期限の2か月延長の申請」や「決算報告などの臨時株主総会を9月下旬に開催する」ことを表明しました。(新たな問題処理が発覚しその後、さらに延期)

 

 この約2か月後の7月21日に田中氏ら歴代3社長の引責辞任の会見が行われました。結果として東芝のトップが、わずか2か月余りの間に3回もマスコミに頭を下げる事態となってしまいました。

 

 東芝は9月7日にようやく2014年度の決算を発表しました。2015年3月期連結決算の最終損益は当初、1200億円程度の黒字予想でしたが、過去の利益水増しを修正した結果、378億円の最終赤字となり、修正額は合計で2248億円という巨額になりました。

www.jiji.com

 

 会見が開かれなければ矢面に立つのは広報担当者ですが、リリースに書かれている内容について説明を求めても「答えられないことが多かった」(経済部記者)といいます。会見できない事情もあったものと推測するものの、Q&Aなども準備していたのでしょうが、おそまつな広報対応として今後も記憶されるでしょう。

 

 問題が起きた時に、企業が説明責任を果たすのは当然の責務です。同社の企業体質もさることながら、広報対応に多くの記者が疑念を抱きました。