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広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。

危機管理広報のお手本といえばこれ

 

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 広報対応のまずさが企業の信用を棄損することが多い一方で、その対応で企業の信用を高めた企業もあります。発生当時に広報担当者の間で参考とすべき事例として大いに話題になったのが、日揮の広報対応です。

 

■事件の概要

  2013年1月16日13時40分(日本時間以下同、現地との時差は-8時間)頃、アルジェリア東部でプラント建設大手、日揮の日本人駐在員らがイスラム武装勢力に拘束されました。18日までに7人の日本人の無事が確認されたものの、複数の日本人の殺害が報じられるなど情報が錯綜しました。

 

 その後、21日に安否不明だった日本人のうち、7人の死亡が確認されたことが明らかになりました。残る3人も24日までに死亡が確認され、合計10人の命が失われる事態となりました。事件当時、協力会社を含む同社の関係者は78名(日本人17名、外国人61名)おり、外国人も7名が死亡しました。

 

日揮の広報対応

  事件発生後、同社の広報・IR部長が16日の20時過ぎに横浜市の本社で初めての会見を開きました。翌17日10時には適時開示情報として「アルジェリアにおける建設現場駐在員拘束報道について」が配信されました。

 

 部長氏は17日以降、刻々と変化する現地の状況を説明するために、連日記者会見を開き、その冷静な対応が注目を集めました。同氏が説明に当たった記者会見は25日の社長会見まで、確認できるだけで15回を数えました。

 

 25日朝、亡くなった10人のうち9人の遺体を乗せた政府専用機羽田空港に到着、この飛行機に同乗していた同社の社長が11時半すぎから本社で記者会見を開きました。この模様はNHK、民放合わせて6局が生中継しました。

 

 会見の中で「なぜ社長自らが現地に行ったのか?」との質問に「事件発生からしばらく時間が経過しても情報が錯綜し続け、何が真実なのかわからなかった。自分の目で確かめたいと思った。また、アルジェリアのような国の場合、(救出や安否確認には)国のトップの方々の絶大な協力が必要になる。それをお願いするためにも、私が行くべきだと判断した」と述べています。

 

 この内容から事件発生の第一報を受けてから、早い段階で社長や経営幹部が現地入りを決めたことが伺えます。そのことが結果として、部長氏が報道対応を一手に引き受けることになったのが要因と考えられます。

toyokeizai.net

 

 当時、筆者もストリーミング映像で社長会見を視聴していた一人ですが、その会見の冒頭で「エンジニアリング会社はエンジニア一人一人が財産であり、彼らによって支えられています」と述べたことが強く印象に残っています。痛ましい事件でしたが、そうした危機にあって地に足の着いた見事な広報対応でした。