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広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。

ジョンソン&ジョンソンと参天製薬の意外な共通点(後編)

 ジョンソン&ジョンソンと並んで危機管理広報の模範とされる参天製薬のケースです。

 

【第3類医薬品】新サンテドウα 15mL

参天製薬の例

 2000年6月14日午前、大阪市に本社がある参天製薬に異物を混入した目薬とともに2000万円を要求する脅迫状が届きました。警察に届け出るとともに社内に社長をトップとする対策チームを編成します。

 

 この日の夕方、東京出張中の社長が急遽帰社。犯人の要求には応じないことを確認しました。さらに、回収方法や包装の改善、消費者への対応など具体策の協議が続きます。

 

 15日に指定された現金受け渡しの場所に犯人が表れなかったのを機に、製品の回収を決定し、社長が緊急記者会見を開きます。この中で製品(24品目、250万個)の回収と店頭からの製品撤去を発表しました。

 

 16日には全国紙8紙に全製品の回収と購入に関する注意の社告を掲載され、17日には製品の撤去が完了しました。

 

 その後、事件はコンビニのコピー機に脅迫文の下書きを忘れていたことが決め手となって23日のスピード逮捕に至りました。28日に製品の生産再開と安全対策を施した新包装の導入を発表しました。同時に事件の影響による業績の下方修正が発表され、13億円の損失を余儀なくされました。

 

 マスコミは同社の一連の対応に対し、「消費者の安全を最優先した」姿勢は、「日本では恐喝事件で大手企業が事実を公表し、製品を回収したのは初めてだ。危機管理上、優れた対応として評価したい」(毎日新聞 00年7月3日社説)、「参天製薬は過剰反応という業界の意見もあったが、雪印事件をみるにつけ、経営陣の英断といえる」(日経新聞 00年7月13日社説)「発表資料や質問に対する回答が迅速だったため業績への影響が判断でき、翌朝にはリポートを出せた」(日経新聞におけるアナリストコメント00年7月25日)と見事な対応振りに賞賛の声が上がりました。

 

 事件後、お客様相談室に「見事な対応でしたね」と激励のために電話をかけた知り合いは、電話に出た担当者から会社の名前の由来と経営理念についての説明を受けたといいます。同時に社員一人一人に理念が浸透していることにとても感心したそうです。

 

 ちなみに、同社の社名はホームページによれば「天機に参与する(=人間社会の調和を助ける意)」に由来するそうです。

www.santen.co.jp

 

 J&J、参天製薬そして日揮はいずれも、悪意を持った者による被害者といえるので、世間の同情をひきやすい点はあります。しかし、それでも対応を誤ると一点加害者として糾弾される可能性を秘めています。

 

 危機管理広報における対応の鉄則は次の3点にまとめられます。

①事実を包み隠さず伝える。

②的確な判断を行い、執るべき人が先頭に立って事態の収拾にあたる。 

③消費者(ステークホルダー)に寄り添った誠実な対応を行う。