広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

ネットの「広告ブロック」がもたらすもの

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 総務省の発表によると日本のインターネットの利用者数は2014年末で約1億人、普及率は82.8%に上ります。世代別では13~59歳までは9割以上が利用しています。それだけ多くの人に利用されているので、広告費もうなぎのぼりであるのは自明でしょう。

 

 ネット広告費は昨年、初めて1兆円を超えました。構成比も広告費全体の17.1%と過去最高。特にリスクティング広告やディスプレイ広告などが含まれる「運用型広告」が高い成長率を示しました。テレビは31.8%と横ばい、新聞は減少を続け、9.8%と初めて1割を下回りました。

www.dentsu.co.jp

 

 成長を続けるインターネット広告ですが、画面いっぱいに突然、動画広告が広がってうんざりしたり、「なんでこの広告がいつまでも表示されるの?」と感じたりすることは、多くの人が経験していることなのではないでしょうか。

 

 新聞や雑誌の広告は読み飛ばせばいいし、テレビのCMならトイレに行ったり、PCに視線を移したり、といった回避策があります。しかし、インターネットを利用しているときの回避策はこれまでありませんでした。

 

 悪意のない広告ならまだしも、中には「スパイウェアが検出されました」等とユーザーの不安を煽る“チカチカ”広告も見かけます。使っているPCに異常があるかのよう見せかけて、有害ソフトをインストールさせようと誘導するもので、「マルウェア」と言うそうです。

 

 悪意があるにしろないにしろ、ネット上の広告は見なくて済むならそのほうがいいと思っていましたが、それが可能になるソフトの存在を知りました。いわゆる「広告ブロック」です。グーグルで「広告ブロック」と検索すると使っているブラウザに適合する無償ソフトが表示されます。

 

 そのうちの一つを最近インストールしました。インストールした無償ソフトではブロックした広告の数が累計で表示されますが、結構な数になっていることに驚かされます。広告表示がされないので、よく訪問するニュースサイトやポータルサイトがシンプルになり、「わずらわしさ」から一気に解放されるなかなかのスグレモノです。

 

 朝日新聞に「ネット点描」というコラムがありますが、10月6日付の記事で「広告ブロック」を取り上げていました。この記事で「『広告ブロック』の全世界の利用者は、この1年で4割増の2億人になり、それによって失われているはずの広告収入は、今年の推計で218億ドル(約2.6兆円)にのぼる」という調査結果を紹介していました。

www.asahi.com

 

 スマホを持っていない私にとっては関心が薄い分野ですが、「アップルが公開したアイフォーンなどの最新版基本ソフト『IOS9』で、『広告ブロック』を使えるようにした」とあり、パソコンだけでなくスマホに広がっているともレポートしています。

 

 朝日の記事と同じ出典の調査結果を以下の記事でさらに詳しく伝えています。これによると「広告ブロック」の日本での利用率が2%ということで、まだまだ認知度は低いようです。情報感度の高いはずの我が娘も初耳でした。

 

 今後ニュースサイトやポータルサイトにとって死活問題になる可能性を秘めていると感じます。特に新聞社系は屋台骨の広告費が減少を続ける中、自社サイトにも打撃をもたらすことになりかねません。動向に注目したいと思います。

www.huffingtonpost.jp