笑う門には福来る!図書館で落語に出会う
図書館フリークを自認し、週末に地元の図書館に行くのを日課の一つとしています。図書館は様々な本や音楽に出会える「知の宝庫」です。
いつもは新しい音楽に出会うためにCD所蔵コーナーに赴きますが、「たまには違うジャンルを借りてみよう」と思い立ちました。それまで見向きもしなかった落語でしたが、ためしにいくつか演目を聴いてみると「おもしろい!もっと聴きたい!」と思うようになり、現在に至ります。
落語になじみのなかった筆者でも、三人の人間国宝(柳家小さん、桂米朝、柳家小三治)や日本テレビの長寿番組「笑点」での桂歌丸や三遊亭圓楽といった落語家の名は知っています。
そのなかで、「まずこの人から聴いてみよう」と思わしめたのは古今亭志ん朝です。筆者が子供のころから、落語家としてだけでなく、俳優としてドラマ等でもよく見かけていました。当時から歯切れのいい語り口はまさに「立て板に水」。
志ん朝を知らない若い方でも、たまに再放送されるスタジオジブリの映画「平成狸合戦ぽんぽこ」のナレーションで耳にしたかもしれません。ちなみにこの映画では柳家小さん、桂米朝という巨匠も声優として出ています。
「ミスター落語」と称され、人気、実力ともに折り紙つき。飛ぶ鳥落とす勢いの志ん朝でしたが、2001年に63歳の若さで惜しまれつつ亡くなりました。それでも、江戸落語の王道を歩んだ名人として今でも多くのファンを魅了しています。聴き始めて、筆者もその一員になりました。
落語は究極の一人芝居なので、聴く人が思い思いに、情景を頭に描き、その想像力を膨らますことができます。しかもCDの場合は映像がないので、落語家の仕草もイメージする必要があります。
「笑い」がもたらす健康効果には「免疫力向上」「脳の働きの活発化」、「血行促進」、「筋力アップ」などがあるそうです。落語には笑いの要素が含まれるのはもちろんですが、想像力を膨らますという点で頭の体操にもなりそうです。
古典落語は江戸時代の話が多いのですが、日本史や日本語の勉強にもなります。例えば、「酒手」、「割り前」、「廓話」。どれも落語を聴くようになって初めて知りました。「酒手(さかて)」はお酒の代金のことですが、決められた賃金の他に与えるチップのこと。「割り前」は各自に割り当てられる金額のことで、割り前勘定が略されて「割り勘」という言葉となりました。
落語には吉原の話も多いのですが、「廓噺(くるわばなし)」とは遊郭を舞台にした落語のこと。江戸時代の風俗・文化の中心地で繰り広げられる男女の愛憎を笑いと人情につつんだ粋で艶っぽい話です。ちなみに客待ちしている遊女の中から好みの女を指名することを「お見立て」といい、落語の演目のタイトルでもあります。