広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

ステマ広告に関する朝日新聞と週刊ダイヤモンドの記事を読んで

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 10月27日付の朝日新聞「ネットの記事、実はステマ広告・・・おわびや釈明次ぐ」という記事を読んで、ネットで見かける編集の体裁を取りながら実は広告というようなコンテンツについて取り上げています。

digital.asahi.com

 

 この中でステマ記事の作成に子会社が関わった大手広告代理店の広報室が「子会社の社員がお得意先のPRになると考えた」、「自社(子会社)の判断で(ニュースサイト)側に出した。広告ではなく記事だった」と釈明しています。

 

 以前「"free publicity"と"paid publicity"の境界が無くなってる?」という記事を書きましたが、「ニュースサイトに掲載してもらいたくても、記事にもらうことが難しい」と考えた場合、情報提供元である事業会社や代理店が“鼻薬を効かせて”露出を少しでも獲得したいという気持ちはわからなくもありません。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 しかし、記事では「ステマ広告は通常の広告より読まれやすく、利益率が高いから、手を出す例が後を絶たない。ステマはネット上のニュースの信頼性に関わる深刻な問題だ」とする識者のコメントも引用されているように、道義上の問題は残ります。「広告のはずなのに広告ではないように編集されている」とすれば、読者を欺く行為ととられても致し方ありません。

 

 ステマ問題が顕在化する中、「週刊ダイヤモンド」の11月7日号に「ステマ症候群」という8ページの特集記事が組まれました。近年、躍進するベンチャー系PR会社のベクトルを名指しで批判しており、同社の「ステマの相場表」という内部資料や社長の一問一答も写真付で掲載されています。

dw.diamond.ne.jp

 

 この号が発売された11月2日にベクトルは見解を出しています。この中で「弊社を含め PR 業界におけるメディアとの取引は、広告枠を購入するという形ではなく、必要に応じて編集協力費を支払うという商習慣が存在している事は事実であり、弊社もその慣習に従った活動を一部しておりました。しかし、編集協力費を支払う事が、記事の内容やクレジット表記の有無を決めるものではなく、それらは最終的に編集権を持ったメディア側の判断に委ねられるものであり、我々PR 会社がコントロールできるものではございません」と。

 

 この部分を読んで感じた疑問は、あくまで「(広告である旨の)クレジット表記がないという前提で編集協力費を払うのではないか」ということです。もしクレジット表記がされていたら、「話が違うじゃないか」とクレームをつけるはずだと。メディアに編集権が委ねられているのは当然のことだし、記事内容に手を加えることはないと思いますが、クレジット表記は別の問題です。

 

 ちなみにこの特集記事では、ダイヤモンド社自身も「あたかも中立的な記事を標榜する『ステマ記事』が過去にあったことが判明」したとして、「認識が甘かった時期があったのは事実」と認めたうえで、「個別に直接金銭をもらって記事化していたなら、それはれっきとした広告記事と本誌は考える」と述べています。

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