最初にゴールを設定することでプレゼン資料も一工夫できる
記者説明会やアナリスト説明会で使うプレゼン資料のマストアイテムとして「パワーポイント」があります。筆者もプレゼンや勉強会のための資料作りによく使います。内容にはこだわっても、デザインをそれほど意識したことはなかったと白状します。
「知的文章とプレゼンテーション」(黒木登志夫著 中公新書)のなかに「私のパワーポイント作成のポリシー」として以下のように書いてあり、デザインに対する意識を高め、内容も濃いものにするためのヒントを得ました。
【内容】
- 1枚のスライドには、一つのメッセージを明確に残す。
- 一番上に一行以内のタイトル、色は別にする。
- 本文は10行以内。
- 長い文章は書かない。一行以内に収めるか箇条書き。
- 図や写真は多くとも4枚。
- 表は7行以内。
【デザイン】
パワポの使い方を体系的に教わったわけでもなく、長い間我流で活用していたものからすると、「なるほど」と思わせるものばかりです。見栄えばかりで肝心の内容が伴わないと意味がありませんが、デザインで印象は大きく変わるのも事実です。
先日、原点に返ることも必要だろうと感じ、「プレゼンの目的とは何でしょうか?」という主旨のセミナーに出席しました。講師に寄れば、目的は三つ。「聞き手に喜んでもらう」、「内容を理解してもらう」、「聞き手に何らかの行動を起こしてもらう」と。
プレゼンを行うことが決まって、まず初めに行うべきは「誰に、何を、どのように、そしてゴール」ということを整理すべきだと。ゴールとは「プレゼンの結果どうなってもらいたいのか?」という意味。最初に「プレゼンのゴールを設定すべきだ」と教わりました。
記者に対する決算発表のプレゼンであれば、一義的なゴールは「決算の内容を正しく理解してかつ報道してほしい」ということになります。「正しく理解して報道」するには、決算短信に記載されている数字や説明文をながめれば概要はつかめます。記者たちも、決算発表の時期は何十という会社の短信とにらめっこするわけですから。
大事なのは+αの説明です。特に決算の内容が悪ければ、悪かった足下の要因とともに、先々のポジティブな見通しが必要です。
忙しい中で集まってくれた聞き手、つまり記者を「喜ばす」には結果の説明はほどほどにして、「先のポジティブな見通し」の説明に限られた時間を割いて、それを理解してもらい、記事の中に反映してもらうことではないでしょうか。
ちなみに先の講師は、各スライドで考慮すべきポイントも披瀝してくれましたが、「1ページ1メッセージ」、「写真は記憶のトリガー」、「図表やグラフは使う意図を明確に」と述べていました。写真やグラフを「埋め草」のように使っていた筆者にとっては前述のヒント同様に参考になります。
自分が行うプレゼンの結果、どういう行動を起こしてもらいたいのか?つまり、ゴールを設定するということを意識しながら、今後、パワポと格闘することとします。