ネガティブ取材への対処法はこれしかない
■「お願いした取材どうなってますか?」
企業であれ団体であれ、ポジティブな広く伝えてもらいたいニュースばかりがあるわけではありません。大小含めたリスクが内包しており、ネガティブニュースとしてセンセーショナルに取り上げられる危険性は常にあります。
自社にとってネガティブな問題について「取材したい」と申し込まれることは、広報担当者を経験していれば、必ずついて回る「頭の痛い問題」の一つです。”一時しのぎ”として、記者のリクエストを注意深く聞いて、「社内で確認の上、折り返しご連絡します」と答えることがあります。
そのうえで、関連部署に”取材”をしてやはり触れてほしくない問題だとわかった場合、経験を含めていえば、「相手の督促を待つ」、「(担当者がつかまらないなどの理由で)申し訳ないが、折り返しご連絡します」、「さらに相手の督促を待つ」、「督促キター」ということがありがちです。
「(メディアも時間との勝負なのだから、)時間切れを待つ」というのは一見、有効な対処法のようにも思えます。しかし、複数回の督促をされた場合、どこかで必ず゛腹をくくるしかない”と感じます。(苦笑)
■時間切れを待つことは「取材拒否」と同義
時間切れを待つということは「取材拒否」と同じことです。取材拒否をされれば、「何かある」と記者が感じるのは当然だし、別ルートの取材網を強化するだけです。ぞんざいな対応や理不尽な扱いを受けるとメディアは俄然、ボルテージがあがるのは、これまでのいくつもの前例が示しています。
とすれば、取材を受けると「腹をくくり」、取材を受ける前提ですべき準備に全ての精力を注いだほうがいいと思います。広報担当者にとっては、「したくない選択」であるのは間違いありませんが。
■周到な準備をして「受けて立つ」、「腹をくくる」しかない!
たとえ社員本人、その家族や関係者にとって、望ましい結果につながらないことが多くても、「受けて立つ」姿勢がないままの記事と誠心誠意説明したうえでの記事とどちらが読者が好意的に受け止めるか、と考えるべきです。
記者が端緒をつかんでいるところで、手練手管でもみ消しを諮ることは、ネット社会の今ではたやすいことではありません。「取材を受けるしかない」と切り替えて、そこで「ベストを尽くす」。そのほうが結果としては、健全な「あるべき姿」ではないでしょうか。「人事を尽くして天命(記事)を待つ」ことを筆者なら選択します。
以前、広報の役割について日経の幹部の方がこう言っていました。「会社を刑務所、シャバを社会とするなら、広報は塀の建物にいる守衛」だと。受刑者の脱走に目を光らせる一方、外の動きを中に伝えるミッションもあるから。
会社を刑務所と例えるあたりは何ともシニカルですが、広報は企業と社会の境界線に立つ存在でなければならないことは、この言葉からも言えることです。