笑い初めに落語のススメ
■大晦日が舞台の「芝浜」
落語を聞き始めたのは最近のことですが、奥が深い伝統芸能だと思います。12月27日の朝日新聞文化面に「はじめての古典落語」という記事で大晦日が舞台の「芝浜」が紹介されていました。
以前、ブログでも取り上げた、酒好きの行商の魚屋が大金の入った財布を浜で拾うところから始まる人情落語です。噺家によって微妙な設定やエピソードが変わるので、聞き比べるのも落語の楽しみ方の一つです。クラシック音楽の名曲が指揮者によって、ジャズのスタンダードが奏者によって、解釈やアレンジが変わるのと似ています。
■噺家と落語家の違い?
「古典落語」といっても江戸時代以降に成立したもの。朝日新聞の記事によれば、「いわば噺家の共有財産として高座にかけられ、観客の反応を得て生き残ってきたのが今日よく耳にする古典落語」です。
国語辞典によれば、その昔は「おとしばなし」と読み、明治中期より「らくご」とよむようになったそうです。落とし噺から噺家、落語から落語家となり、どちらも同じ意味です。
ただ、落語家であることにこだわる立川談志、噺家であることにこだわる柳家小三治がいるように、当人たちにとっては「似て非なるもの」なのでしょう。
「落語家」にこだわる立川談志と「噺家」柳家小三治の違い│NEWSポストセブン
古臭いと思われがちな落語です。確かに設定が江戸時代や明治時代なので、そう感じるのも無理はありません。ただ、時代を超えて今でも支持を集めるのは、人生の機微や哀歓を話術だけで表現するところにあると思います。
■しぐさを想像しながら落語を楽しむ
話術だけとは言うものの、顔の向きを変えることで役どころを使い分ける「上下を切る」しぐさやまんじゅうやそばを実際に食べているように演じるのも特徴の一つです。小道具は扇子と手ぬぐいだけ。扇子はキセルや箸、手ぬぐいは財布や帳面になります。
CDで落語を聴くことが多い筆者ですが、そうしたしぐさを想像するしかないのが少し残念ですが、それはそれでしぐさを夢想するのも楽しみの一つといえるかもしれません。
日経新聞「専門家お薦め 古典落語で気持ちも華やぐ初笑い」という今年のお正月の記事を見つけました。何から聴いていいのかわからないという人には参考になると思います。