広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

踏ん張りどころの雑誌業界に期待する

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■前年割れが続く出版物の売り上げ

 2015年の国内の出版物の販売額が、前年より840億円少ない(5.2%減)およそ1兆5200億円となる見通しで、これまでで最大の落ち込みになるとの報道がありました。11年連続で前年割れだそうです。

 

 200万部を超えるベストセラーとなった「火花」効果もあって書籍は健闘した(1.4%減)ものの、雑誌の売り上げが大きく落ち込んだ(8.2%減)ことが要因。発表を行った出版科学研究所によれば、「スマートフォンの普及でSNSやゲームに時間を奪われ、出版物の売り上げに影響している」と説明しています。

 

 産経新聞の記事によれば、「週刊誌の販売が大きく落ち込むなど高齢層にも“雑誌離れ”の傾向がうかがえる。スマホの普及で情報への接し方や時間の使い方が変わる中、どう読者を取り込むかが引き続き、問われる」と。

headlines.yahoo.co.jp

 

■特に厳しい雑誌販売

 雑誌の販売は1997年の1兆5644億円をピークにじりじりと下がり続け、20年弱で売り上げは半分程度になってしまいました。

 

 日本雑誌協会では印刷部数(販売額ではない)を公表し、HPで公開しています。総合週刊誌の項目を見ると、2015年7月~9月では「週刊文春」66.9万部、「週刊新潮」52.6万部、「週刊現代」50.2万部、「週刊ポスト」39.6万部。


 5年前2010年の同時期では、「週刊文春」71.3万部、「週刊新潮」61.0万部、「週刊現代」59.2万部、「週刊ポスト」46.9万部。おなじみの週刊誌はどれも苦戦を余儀なくされている結果となっています。

 

 コンビニの店舗は増えているのに出版物の売り上げは下がっているというし、書店も減り続けています。一方、図書館は30年前に比べて、図書館の数は約2倍、蔵書数は約4倍と大幅に増えています。 

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

■雑誌の値段設定の再考を

 逆風下にある雑誌ですが、気になるのは単価が上がり続けていることです。消費税増税やコスト上昇のためにある程度の値上げせざるを得ない状況は理解しますが、その結果、読者離れが起きているのではないでしょうか。

 

 スマホがマストアイテムとなり、通信にかかる費用は高止まり。それでいて雑誌も値上げしていては買うのを躊躇するのも無理はありません。新聞には軽減税率が適用される見通しのようですが、雑誌は微妙な状況だけに再考の余地があると思います。

一般社団法人 日本雑誌協会 - 軽減税率「意見広告」掲載ご協力のお願い

 

 総合週刊誌の現在の価格帯は300円台後半~400円台前半です。例えば「週刊文春」の90年代後半の頃の価格は300円。たかが100円程度の違いかもしれませんが、1ヶ月で400円。暇つぶしの代替手段としてスマホが登場したことと相まって、インパクトは少なくないと感じます。

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