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広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。

新聞の使命とリンカーンの言葉

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ウォーターゲート事件ワシントン・ポスト

 アメリカ最大の政界スキャンダルといえば、多くの人は「ウォーターゲート事件」を思い浮かべるのではないかと思います。1972年の大統領選のさなかに、民主党本部があるウォーターゲート・ビルに、盗聴器を仕掛ける目的で進入した不審者が警備員によって発見され、逮捕されたことに端を発します。

 

 不審者はニクソン大統領の再選を果たそうと動いていた、与党である共和党関係者によるものと判明します。当時の政権中枢にいた人物も深くかかわり、事件に対する操作妨害やもみ消し工作にも直接関与していました。

 

 これらの多くはワシントン・ポストの調査報道で明らかになりました。このスクープで大きな役割を果たしたのがワシントン・ポストの二人の若手記者(ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタイン)です。

 

 この二人をロバート・レッドフォードダスティン・ホフマンが演じた『大統領の陰謀』という1976年公開の映画があります。ジャーナリズムを題材にした何度見ても飽きない作品です。

大統領の陰謀 (字幕版)

 

 地道に取材を重ねる若い二人の記者を、編集主幹や社会部長などの上司がしっかりと影で支え、時の権力者と対峙します。特に編集主幹を演じたジェイソン・ロバーズは、理想の上司像を体現した円熟の演技でアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。

 

この映画を見ると、リンカーンの言葉を思い出します。

 You can fool all the people some of the time, and some of the people all the time, but you cannot fool all the people all the time.

「少しの人をずっと欺き続けることはできる。 多くの人を少しの間、欺くことはできる。 しかし、多くの人をずっと欺き続けることはできない。」

 

 結果としてニクソン大統領は、ウォーターゲート事件発覚の二年後に辞任を余儀なくされます。 

 

■軽減税率の適用で「恩を売った」?

 新聞に軽減税率が適用される見通しになったことについて、日本新聞協会は「新聞は報道・言論によって民主主義を支えるとともに、国民に知識、教養を広く伝える役割を果たしている。このたびの与党合意は、公共財としての新聞の役割を認めたものであり、評価したい」とする会長コメントを12月16日に発表しました。 

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 その数日後の同協会の発表によれば、「2015年10月現在の総発行部数は、前年比2.5%減の4424万6688部で11年連続の減少」とありました。苦境が続く中で、税率の据え置きは業界で歓迎されるのは当然でしょう。ただ、「何で新聞なの?」という声が少なくないことは認識すべき。

 

 本来、新聞はときの政権に対する監視機能を果たすべきですが、いわば「恩を売った」形になった結果、その機能にほころびが出ないのか、という危惧もあります。軽減税率の対象になったからと、ほくそえむのはほどほどにして、その筆をゆるめることがないようにしてほしいものです。

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