記者クラブに接近するきっかけとして覚えておきたいこと
■お互いにとって都合のいい「記者クラブ」
官公庁や地方自治体には必ずと言っていいほど記者クラブがあります。役所の中にこうした施設があることで、情報をタイムリーにマスコミに伝えられる。マスコミ側にとっても働く場所が取材先ということで、双方にとって好都合というわけです。
民間の一部団体も同様の記者クラブが設置されています。今は建て替えられた東京の大手町にある経団連会館ですが、以前は一般紙の記者クラブだけで4つが同居していました。
財界を担当する「財界記者クラブ」、自動車や造船重機業界などの業界を担当する「機械記者クラブ」、石油や電気の「エネルギー記者会」、そして鉄鋼、化学、医薬などの業界を担当する「重工記者クラブ」です。
2009年の建て替え後は「財界」と「エネルギー」が残り、「重工」は鉄鋼会館に移転。「機械」はその役割を終え、自動車のように新たに「自工会記者クラブ」を拠点にしたり、記者クラブを通さずに担当記者に個別にコンタクトをしたりするようになりました。
■わからないことは受付か幹事に
場所だけで常駐者のいない記者クラブもありますが、通常は受付がいて、加盟社がそこに常駐する形になっています。加盟社の中から持ち回りで複数の幹事社が割り当てられています。
幹事社は会見の申し込みを受け付け、クラブ内で行われる会見を仕切ります。省庁が行う大臣会見における代表質問は幹事が行うのが通例ですが、事前に加盟社とポイントや攻め口をすり合わせたうえで会見に臨みます。
■記者クラブに接近するきっかけとして大切なこと
広報活動に慣れていない会社は専門紙との関係をまず深めよう、と以前提案しました。記者クラブは専門紙にももちろんあります。鉄鋼会館の中には、「鉄鋼研究会」がありますし、他業界も同様です。
敷居が高いようにも感じる記者クラブですが、広報活動を行っていくなら、避けては通れない場所です。毎日新聞の方が書いた「新聞を味方にする方法」(1989年)では、記者クラブに接近するきっかけとして大切なのは、「最も魅力的な形で情報を記者に伝える手段を第一義として考えなければならない」と述べています。
かなり前に出された本ですが、今でも十分通じる対新聞社の広報活動の手ほどきが随所に書かれていて、参考になる本です。大切なのは「キャッチフレーズ」と。気の利いた言葉や流行りそうな言葉であって、かつ内容がわかる言葉を武器にすればよい、と述べています。
簡単にひねり出せそうもない難題といえますが、記者から「要するに何なの?」と問われたときに、「これはこう」と端的にポイントを伝えられるようにしておくことだと理解しました。難しく考えずに自信をもって行きましょう。