広報活動の発信力を高めるのに必要な傾聴力
■市民活動の広報セミナーに行ってみた
市民団体による広報活動のコツに関するセミナーが近くの公民館で開かれたので、聞きに行ってきました。30人ほどの出席者の多くはシニア以上の方で、隣のおばあちゃんにも「お兄ちゃん」と呼ばれるほど。(苦笑)同じテーブルに座った残りの4人はみな、お孫さんがいらっしゃるようでした。
特定の市民団体に属しているわけでもなく、広報活動に関する”引き出し”が増えればという不純?な動機の人間は、私以外にはいないかも・・と気おくれを感じながらの受講でしたが、とても参考になるセミナーでした。
企業の広報活動は自社の事業、サービス、商品などをより多くの人に伝えるのが、最大のミッション。継続的な広報活動を通じて、認知度の向上や信頼感の醸成を図ります。一方、NPOも自分たちの活動を、地域の人に知ってもらって、行事への参加者や賛同者を増やすことにあります。講師によれば、「(NPOの)広報活動の発信力は受信力次第だ」だと。
■無関心層を関心層に引き入れる
市民活動への向き合い方には同心円状に三つの層があるそうです。ある地域イベントに例えると、意識の高い「欲求層」は情報の浸透も早く参加率も高い。その外側の「関心層」は「面白そうなイベントだな」、「当日暇だったら」というように何らかの関心を寄せ、場合によっては「参加してみよう」と思う。ちなみに今回の広報セミナーに参加した筆者はこの「関心層」にあてはまります。
さらにその外側には「無関心層」がいる。「自分には関係ない」と思う人とか、そもそもそういう催しがあることを知らない層も入ります。圧倒的多数はこの層でしょう。
講師曰く、こうした無関心層の気持ちを動かすには、関心層の気持ちを動かすことが大事だといいます。関心層と無関心層の境界で”ざわつき”をいかに作るか、だと。そしてこうした”ざわつき”を作るには、そうした「無関心層」の人たちの話をどんどん聞くという作業が必要だと述べています。
■受信力と傾聴力が大事
このセミナーでは、となりのおばあちゃんにも一つ教わったこともあります。そのおばあちゃんはボランティアで認知症の方の介護のお手伝いをしています。どういうことをされているのかと聞くと、「”けいちょう”よ」と。「”傾く聴く”のことですか?」と筆者が聞くと「そう」だと。
広がる傾聴の輪 ボランティア団体発足 北上 来月から活動 | Iwanichi Online 岩手日日新聞社
介護の現場で「傾聴」、つまり「被介護者の話に耳を傾け、共感を伝えながら、聞く」ということが行われていることを、恥ずかしながら今回初めて知りました。
市民活動の成否は受信力次第ということを講師の方が述べたことは先に紹介しました。その通りだと思います。受信力というと情報を受け取る力のこと。広報活動においては「熱心にきく」という意味の傾聴力がよりふさわしいように感じました。