訴求ポイントをどこに置くかという四択問題
■訴求ポイントをどこにおくか
先日、市民団体の広報活動のコツというセミナーに出席したことを書きましたが、もう一つ印象に残ったことがあったので紹介します。訴求ポイントについてのお話です。以下のキャッチコピーを読み上げ、どれを購入したいかを参加者に聞くというものです。
- フレッシュ100%生クリームがたっぷりケーキ
- 真っ赤な朝採りいちごがのっているケーキ
- いつもの半額、大きさそのまんまのケーキ
- あの有名なパティシエが作ったケーキ
参加者の支持が多かった順に2>4>1>3。人数でいうと、20名程度、11名、7名、3名でした。地域色が出るようで、同じようなことを他の地方でもやったところ、北海道では1が、大阪では3の支持率が高かったそうです。
参加者の多くはシニア以上の層でしたが、スイーツ好きな若い女性に同じことを聞いたら、また違った結果になるかもしれません。ターゲットによって訴求ポイントが変わるという好例です。
■訴求ポイントの引き算という考え方
上の四択コピーを筆者がアレンジしたものです。以下の二つを比べるとどうでしょうか。
- 真っ赤な朝採りいちごがのっているケーキです。しかも、あの有名なパティシエが作りました。さらに、フレッシュ100%生クリームがたっぷり。いつもの半額、大きさそのまんまです。
- 真っ赤な朝採りいちごがのっていて、あの有名なパティシエが作り、フレッシュ100%生クリームがたっぷりで、いつもの半額、大きさそのまんまのケーキです。
以前、訴求ポイントの引き算のことを書いた本を紹介しましたが、この二つを比べると1に食指を動かす人が多いのではないでしょうか。2のように「げっぷが出そうになるほど」特徴を羅列すると、結局のところ何が特徴なのかよくわからないケーキになってしまいます。極端な例ではありますが。
■記者に「どうしたらいいですか?」と聞くのも広報活動
NPOの活動でも大手メディアの力は絶大です。その活動内容や催しの告知が新聞に掲載されれば、参加の動機につながることも少なくありません。自宅に届く朝日新聞には地方面が2面あり、そうした活動が掲載されることも少なくありません。
講師によれば、そうした記事の掲載をメディアに「お願いすることはない」といいます。ここが、企業の広報活動とはここが大きく違う点だとも。筆者の経験上、そこまで「お願いする」場面は多いとは思いませんが、心の底では「何とか掲載お願いします」と念じることはよくあります。
市民活動の広報のコツは「こういう催しがあるんですが、『どうしたらいいですか』と聞くだけ」だと。そうすると「資料を○○に送ってください」とか、「おもしろそうですね。詳しく教えてください」となり、次につながるのだといいます。
取材に来てくれた記者にも、まずはチラシ作りを手伝ってもらうことから始めるのだとも言っていました。記者であろうと市長であろうと、相手におもねることなく同じ土俵に乗ってもらう。NPOの矜持を見た気がします。