余白を意識し、情報を詰め込みすぎないようにする
■日章旗に占める赤い部分の面積比
誰にとってもおなじみの日章旗ですが、赤い部分の面積の占める割合について、「引き算する勇気」(2015年)を読んで意外なことを知りました。本によれば、1000人アンケートの結果、30%が最も多く、40%、50%がこれに続くそうです。平均を取ると31.6%。
感覚的には3割ぐらいかな、と。正解は約18.8%と2割にも満たない。法律の規定によれば、縦が横の3分の2、日章の直径は縦の5分の3とあります。
プレゼン資料に関する資料を読むと、「シンプル」であるべきという記述を多く見かけます。1スライドにいれるべきメッセージは一つだけ。二つ以上だと聞き手に余計な負担になってわかりにくくなると。
■文字量多すぎな事例
以下は、関東にある政令指定都市の広報計画に関する資料です。縮尺のせいもあるでしょうが、それでもあまりの字の多さに引いてしまいます。 誰を読み手と考えて作られた資料なのでしょうか。
文字があまりにも多く、要点を探し出す気力もなえるほどです。ㇺだを省くことによって、要点が明確になることを(税金だけでなく)資料においても気が付くべきでしょう。自治体が行う広報活動の場合、市民の税金によって賄われているという気負いのせいか、「情報を徹底して盛り込むことが市民のため」、よかれと思ってやっているフシがあります。
自治体の広報に関連した仕事をしたことがありますが、「相手に届いていようがいまいがあまり気にしない」という意識を少なからず感じることがあります。市民から文句が出ても、「いや、ちゃんとこれこれをしてますから」という証拠づくりのためにしか見えない。
情報が多いことは悪くありませんし、自治体のような組織ならなおさらです。しかし、「理解を促す」という視点が足りなければ意味がありません。情報を伝える広報の仕事をしていると読み手や聞き手の側に立つことが大事だとされます。「理解を促す」というのは「気遣う」と言い換えることができると思います。
■マージンには余白という意味もある
上の資料でもわかるように、文字量が多いことは、すなわち余白が少ないということ。日章旗の例を出すまでもなく、適度な余白は読み手に窮屈な印象を与えない効果があります。筆者のようにデザインセンスがなくても、余白を意識することや情報を詰め込みすぎないことは、十分心がけができそうなことです。
余談ですが、余白のことを英語でmarginといいます。ビジネス上でよく登場する言葉ですが、利幅とか手数料という意味で使われ、余白という意味合いで使うことはほとんどないと思いますが。