コーチングでは5W1Hではなく4W1Hを使って質問する
■四輪大型馬車という意味もある「コーチ」
「コーチ(coach)」はスポーツ競技の指導者を表す言葉として定着していますが、もう一つの「四輪大型馬車」という意味はあまりなじみがないかもしれません。ちなみに高級皮革製品のブランドにも馬車があしらわれています。
いわゆる「コーチング」への興味から、講師をしている人の話を聞く機会を得ました。その方によれば、コーチングとは「相手のことばに耳を傾け、相手の可能性を最大限に引き出す、効果的なコミュニケーション法」だと。
元々は米国で確立されたビジネススキルで、1990年代には、マンツーマンのコーチングを行うプロフェッショナルのコーチが表れ、多くの企業経営者や自己実現を目指す人たちがコーチングを受けるようになりました。
普段の生活で耳にする機会が増えたのは、ビジネスはもちろん、親子間や教師と生徒間でもコーチングの考え方が普及しているのが一因でしょう。講師によれば、コーチング一人に対して、クライアント一人が基本。相手の話を聞きながら、効果的な相づちや質問によって、クライアントの「気づき」を引き出して、「自発的な行動」や「目標達成」につなげるように進めていくのだといいます。
筆者がクライアント、講師がコーチとなってミニセッションを行いましたが、コーチの効果的な相づちと質問で引き出されるものは確かにあります。頭の整理や物事の優先順位を決めるといった効果もありそうです。
■コーチングにおける4W1H
リリースの構成要素には5W1H(When, Where, Who, What, Why, How)が必要だといわれますが、コーチングでは一つ少ない4W1Hを使った質問を行うそうです。「カウンセラーのコーチング術」(2002年)に書いてありました。5Wのうち、”Why”だけは使わないのだと。
ヘマをした部下に対して上司が「なぜだ?」と質問すると返ってくる反応は二つ。一つは「すみません」。もう一つは「言い訳」。Whyを使うと相手は守りに入りやすく、コーチングは機能しにくい。親に「なんでこんなにテストの点数が悪いんだ!」と聞かれた子供は、「ごめん。次頑張る」とか「ヤマが外れた」としかいいようがないのと一緒です。
「どうしてできないの?」ではなく「どうすれば次はできる?」のどちらが「答えがい」があるかは明らかです。忘れないようにしたい心がけです。