広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。

硬直マインドセットとしなやかマインドセットの違い

■硬直マインドセットとしなやかマインドセットの違いとは

 「マインドセット」という言葉があります。英和辞書によると、「〔人の固定された〕考え方、物の見方、〔人の〕好み、習慣」といったことを意味します。転じて、価値観や判断基準、心の持ち方といった文脈でも使われます。

 

 最近読んだ「マインドセット やればできる!の研究」(2016年)によると、マインドセットには二通りあるといいます。一つは「硬直マインドセット(Fixed Mindset)」。もう一つは「しなやなかマインドセット(Growth Mindset)」。

マインドセット「やればできる! 」の研究

 前者は「自分の能力は右脳に刻まれたように固定的で変わらないと信じている人」、後者は「人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができる」という信念を持つ人。多くの偉人も若いころは凡庸だったが、「うまくいかないときにこそ、粘り強い頑張りを見せるのが『しなやかマインドセット』の特徴だと。

 

では、自分はどちらなのか?以下の四つの選択肢からそれがわかるといいます。

  1. 知能は人間の土台をなすもので、それを変えることはほとんど不可能だ。
  2. 新しいことを学ぶことはできても、知能そのものを変えることはできない。
  3. 知能は、現在のレベルにかかわらず、かなり伸ばすことができる。
  4. 知能は、伸ばそうと思えば、相当伸ばすことができる。

 1と2が硬直マインドセット、3と4がしなやかマインドセット。知能は運動センスやビジネススキルにも置き換えられ、人間的な資質にもあてはまる、とも。選択肢からあきらかですが、自らの関心を、他人からの評価におくか、あくまで向上心におくか、という点で異なることがわかります。

style.nikkei.com

 

■硬直マインドセットに凝り固まって失敗したアイアコッカ

 自らの限界を作ってしまい、学習の機会をも奪ってしまうのが、硬直マインドセットです。一方、しなやかマインドセットを持つ人は「進んで困難に挑戦するだけでなく、それを糧にしてどんどん成長してゆく」。

 

 「アメリカ産業界の英雄」と一世を風靡しながら、その後失速した大手自動車メーカー、クライスラー社の元会長であるリー・アイアコッカが、硬直マインドセットの代表例として書かれています。(しなやかマインドセット経営者にはGEのジャック・ウェルチなどが選ばれています。)

 

 アイアコッカは、もともとフォード社の社長でしたが、創業家出身の会長と対立、その職を追われます。競合のクライスラーの社長に迎えられ、フォードでの屈辱をバネに立て直しに成功します。自らのサクセスストーリーを書いた本はベストセラーとなるなど、キャリアの絶頂期を迎えます。

アイアコッカ―わが闘魂の経営

 

 しかし、そうした時期は長続きしません。まもなく再びクライスラーは経営不振に陥ります。そこでとったアイアコッカの行動を前述の本では、「自分を批判する社員をどんどんクビにしただけでなく、クライスラーを救おうと献身的に働いた社員に報いることもしなかった」と。

 

 さらに、「競争相手の挑戦を受けて立とうとせずに、非難、言い訳、批判者やライバルの押さえつけといった硬直マインドセットの武器を振り回すようになっていた」と厳しく指摘しています。

 

 1924年生まれのアイアコッカは90歳を越えた今も健在のようです。ビジネスの一線を引退してからは、糖尿病研究の基金を設立し、自ら多額の寄付を行うほか、電気自動車の開発にも取り組んでいるといいます。

 

 著者は同氏について、「自分の能力を証明しなくてはという縛りから解放されて、自分が心から大切だと思うことに力を注げるようになった」と結んでいます。しなやかマインドセットへの移行に年齢は関係ないことがこれでわかります。

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