外国人に人気とされる宇都宮市内の居酒屋からインバウンドを考える
■サルが接客をする居酒屋
栃木県といえば、世界遺産の「日光東照宮」。都心からもそう遠くないし、少し足をのばせば、華厳の滝や中禅寺湖、そして鬼怒川温泉などもあって海外の観光客にも人気があります。人気の中心は日光市で宇都宮市あたりは素通りされるのかと思いましたが、意外にそうでもないようです。
栃木県の資料を見ると、月別の外国人宿泊者が最も多いのは、10月。次いで11月、4月、5月です。紅葉と桜を鑑賞する季節に人気なのがうかがえます。(国内の観光客も含めると8月がトップで10月、11月と続く)外国人の宿泊先は日光市(2013年、4.1万人)をおさえて宇都宮市(同、6.6万人)がトップ。(国内の観光客も含めると日光市が326万人でダントツ。宇都宮市は145万人と日光市の半分以下。)
そんな宇都宮市内の、とある居酒屋に欧米の観光客でにぎわっていると最近知りました。その理由は接客をこなすニホンザルにあります。店主がペットして飼いはじめ、そのうちに給仕をするようになったのだと。
はっぴを着せられ、おしぼりやビールをだしてくれる。おもてなしをするサルは2匹いて、一日ずつ交互に出てくる。食べ物には触れないようにしつけられ、保健所の指導も受けているそうです。
そんなサルの姿に共感した外国人がYoutubeに投稿、瞬く間に拡散され、外国人が訪れるきっかけになったそうです。「このお店が楽しみで日本に来た」と。インタビューに答える観光客のコメントが、欧米のメディアに紹介されています。
動物がその地の名物になる事例はこれまでもあります。瀬戸内海に浮かぶ大久野島(広島県)は「うさぎ島」として知られています。駅長に猫が任命されるさきがけとなった和歌山県紀の川市にある和歌山電鐵貴志川線貴志駅。どちらも外国人観光客にも人気です。
■トップ4に次ぐタイ
3月末に政府が、2020年に4000万人という新たな訪日外国人の目標値が示されました。2015年に1974万人の訪日外国人を迎えたことから新たな目標が設定されました。現状の倍以上の目標を達成するためには、これまでにないアイディアも必要になります。
日本政府観光局の資料によれば、約2000万人の訪日外国人のうち、8割はアジアからで、欧米からの観光客はまだまだ。しかも中国、韓国、台湾の3か国で6割以上を占めます。
中国からの観光客は、団体ツアーが多く、初来日がほとんど。台湾はリピーターが多く、出国先でも日本がトップになる月も増えています。トップ3の後には香港が続きますが、5位にはタイが入りました。昨年、 796,700 人が来日し、過去最高を記録(これまでの過去最高は 2014 年 657,570 人)。
通訳案内士(報酬を受けて外国人にガイドを行う国家資格)はタイ語でも受験できますが、ニッチすぎるためか、昨年の合格者はわずか4人。かつて滞在していたタイからの観光客が増えるのは喜ばしいことですが。4位の香港は152万人ですから差は小さくありませんが、トップ4の牙城を脅かす存在になってほしいと思います。