広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

相手が観光客であっても特派員であっても、その関心に即した情報提供が必要

 

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■国によって違う日本への関心テーマ

 「通訳ガイドというお仕事」(2016年)という本は、通訳案内士(通訳ガイド)を目指す人にとっては得るものが多い本です。ただ、本の著者のように、よほど熱心に取り組まないと、「足裏の米粒」のように「取ったはいいけど“食えない”」という現実を突き付けられることも、同時にわかりますが。

通訳ガイドというおしごと (アルク はたらく×英語シリーズ)

 それはさておき、「国によって違う日本への関心テーマ」という項目があり、「一般的に、西洋人に比べアジア人のお客様のほうが、日本のことをよく知っていると感じることが多い」とあります。

 

 地理的な距離や相互の交流もそうですし、訪日外国人の8割がアジアからということを考えれば、当然ともいえます。アジアからの観光客は、「日本でやりたいことが明確な場合が多く、ニーズも具体的」。一方、欧米人はアジア人よりも「歴史や文化に興味が高い」と指摘しています。

 

■海外メディアでもアジアと欧米では視点が違う

 筆者も同感です。海外メディアのスタンスでも、アジア系と欧米系でニュースを取り上げる視点が異なるという意味で同様のことを感じます。アジア系のメディアは「日本と自国(例えば中国)の関係」という視点で報じることが多い。つまり、「中国にとってどんなメリットや影響があるのか」という点に注目しています。

 

 中国のNHKに相当する中央電視台(CCTV)の特派員から、数年前に直接聞いた話として、「日本は中国にとって重要な国の一つであり、歴史的な絆も強い。多くの中国人は日本のことに高い関心を持っている」として意欲的な報道姿勢を示してくれました。中国メディアは指導部の意向が論調にも影響するという特殊事情もありますが。

 

■読者にとっての新たな発見の提供

 一方、欧米のメディアは「グローバルの中の日本」とか「読者にとっての新たな発見の提供」という視点で報じます。なので、ストレート記事でも意外な記事が注目を集めることもよくあるといいます。

 

 Financial Timesの東京支局長が昨年の10月の講演で言っていましたが、世界的な自転車部品メーカーのシマノのブレーキに関する記事は他の記事に比べて5倍以上の閲覧があったと。また、東京はいろんな意味で注目度が高い。例えば渋谷のスクランブル交差点の記事のように。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 相手が観光客であっても特派員であっても、「その関心に即した情報提供」が必要なのは、“グローバルスタンダード”のようです。

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