岐路に立つ中堅私立大学の広報活動
■入学生8千人に対して、保護者1万人以上が出席する入学式
4月14日の朝日新聞の第二社会面に「大学生の親 存在感どっしり」という記事がありました。7日に日本武道館で行われた明治大学の入学式に、入学生8千人に対して、保護者は1万人以上が出席したそうです。
明治大学広報は「少子化の影響か、子供への関心が年々高まっている印象。学生もそれを嫌がらない」とコメント。同大学では、保護者が入りきらず2008年から入学式を午前と午後の2回に分けて行っているのだとか。
親を連れ立っての入学式はせいぜい高校まで、というイメージが筆者には強かっただけに、「時代が変わったな」という印象を強く持ちます。子供の成長を見届けたいと思うのは親の数だけいますし、筆者も同じです。ただ、入学式にそこまで集まるようになったことには複雑な気持ちになります。
筆者は親元を離れて、地方の国公立大学に進んだということもあり、元々来ることを期待もしなかったし、来てほしいとも思わなかった。親も「行きたい」とも言わなかった。「そんなことに時間を割いてもらわなくていい」とすら思っていました。
明治大学の入学式では、親が「行きたい」と言うのか、子供が「来てくれ」というのかわかりませんが。首都圏に住んでいて首都圏の大学に進学するのなら、どちらからともなく同伴という流れが出来上がっているのかもしれません。
■大学の数が増えて18歳人口が減る現状
産経新聞の記事に、「大学進学率が頭打ちの中、今後18歳人口の急速な減少が見込まれ、主に地方で定員割れが続く私立大の経営は一層厳しくなる見通し」だといいます。 さらに、「文科省によると、四年制大学への進学率は約50%。ここ数年120万人前後だった18歳人口は、平成30年度以降減少し、43年度には100万人を下回ると予測されている」。
NHKの報道によれば、「私立大学は、去年5月時点で全国に604校あり、昭和60年の331校から30年で2倍近く」に増加。18歳人口は平成4年の205万人がピークでした。
■見直したい大学広報
以前、大学の広報サポートにかかわったことがあります。首都圏の中堅私大でした。学生数も多く、知名度の高い大手私大に比べると、どうしても見劣りします。そこに風穴を開けようというのが広報活動です。いわゆる「入試広報」とされるオープンキャンパスなどの学生向けの情報提供に比べると、それ以外の広報は二の次になっている印象が否めません。
私立大学を一種の民間企業ととらえれば、知名度・認知度を高めることはステークホルダーの信頼感の醸成に大きな役割を果たすはず。筆者が大学生のころに比べて、私立大学の数が2倍に増えているのに、18歳人口が4割も減っていることを考えると、大学ももっと入試広報以外の広報活動を活発にすべきなのは明らかです。