「ごく限られた本が、努力と注意を払いながら、最後まで読む価値がある」
特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
■「ごく限られた本が、努力と注意を払いながら、最後まで読む価値がある」
「味見のための本があり、丸呑みするための本もある。そしてごく少数の本だけが、かみしめ、消化するためにある。つまり、一部だけを読めばいい本があり、好奇心をもって読まなくてもいい本がある。そしてごく限られた本が、努力と注意を払いながら、最後まで読む価値がある」
これは中世のイギリスの哲学者、フランシス・ベーコンの言葉です。高校で習った「倫理社会」(今の「現代社会」)に登場する人物です。「知識は力なり」という言葉が有名で、帰納法を編み出しました人物でもあります。
冒頭の言葉は、「3週間続ければ一生が変わる」(2006年)で見つけたものです。見開き2ページに一つずつ人生の教訓が書かれており、この言葉は「すべての本を読み終えなくていい」という項目にあります。
■最初の三章で読み続けるかを判断する
勢い込んで、買ったり借りたりした本なのに、長編ものになると、途中で挫折してしまうということがあります。飽きるというか、他の本に関心が移ってしまうというか。移り気な筆者はそう思います。でも、それはそれでアリなんだと、著者はいいます。
著者によれば、「最初の三章を読んで、価値のある情報が得られていないと思ったり、あなたの注意を引き付けていなかったりする場合は、その本を片づけて、時間をもっと有効に使いましょう」と。
「常に本を持ち歩く」という項目もあります。人は一生の間に、「無駄な折り返しの電話をかけるのに二年間、列に並ぶことに5年間費やす」とあり、「シンプルながら最も賢明な時間管理の戦略は、どこへ出かけるときも必ず本を持ち歩くこと」を勧めています。
この項を読むと、折り返し電話や列に並ぶこと以上に、スマホと対峙している時間の長さに、筆者などはどうしても関心がいきがちです。スマホが爆発的に普及する前に出た本ですが、著者ならスマホについてどう言及するのか興味がわきます。
■「モリー先生との火曜日」を知る
本の中でいくつか、推薦図書が挙げられていますが、わざわざ見開きで紹介している本は一つだけ。それが「『モリー先生との火曜日』はぜひ読む」というもの。「少なくとも10人以上の書店員」に勧められた著者が飛行機の中で読もうと空港で、この本を買い、読み始めて止まらなくなったそうです。
現在読み進めている最中ですが、余命少ないモリー教授がその教え子で著者のミッチとの”最後の”授業を通じて、さまざまな人生訓を与えるという内容。気づきは別の機会に書こうと思います。
「青春の一冊」への2冊目のエントリーになりますが、村上春樹の「1973年のピンボール」にします。高校時代に読みました。彼を知るきっかけになり、スタン・ゲッツを知るきっかけにもなった小説です。