広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。

「ペンは剣よりも強し」は誰が言ったのか?

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■「ペンは剣よりも強し」は誰の格言か?

 「ペンは剣よりも強し」。ジャーナリズムの反骨精神を端的に表した有名な言葉ですが、誰の言葉なのかは案外知られていない。そんな書き出しのコラムを4月20日の日経産業新聞のシリーズコラム「新実践 コミュニケーション改革」で読みました。

 

 コラムによれば、17世紀初めのフランスの政治家リシュリューが言ったと伝わっていますが、それも「本当に言ったのかわからない」。というのも、19世紀の英国の劇作家ブルワー・リットンが自身の戯曲「リシュリュー」の中で、このセリフを言わせているから。

 

 さらに、自分(劇中のリシュリュー自身)のように優れた人物という条件付きで、「ペンは剣よりも強し」というのが真意で、ジャーナリズムの矜持を示すものとはかなり違うようです。このように、格言が独り歩きすることもある一方で、「誰が言うかが重要と思いがち」なところが私たちにはある、とコラム氏は述べています。

 

 解説記事やオピニオン欄あるいは短いコメントでも、大学教授といったその道の専門家の意見がよく新聞にも載っています。「何を言ったかより誰が言ったか」を見て、「この人の意見なら読んでみようか」となる場合もあります。

 

 記者もテーマに応じて、インタビューする対象を選定するわけですが、おそらく筆者のような読者のことも想定して、より多くの人に読んでもらえそうな相手を選ぶようになるはずです。つまり、「何をしゃべってもらうか」より「だれにしゃべってもらうか」が意外に重要。

 

■筋書きに合った話をしてくれる人を探す

 記事の筋書きにあったコメントをしてくれる対象を探す、ということが記者にはあります。知人の広報の専門家から聞いた話ですが、とある会社の不祥事発生時の対応のまずさについて、全国紙の記者から電話取材を受けたと。

 

 記者からの質問にあれこれ答えた後、「つまりこういうことですよね」といって、記者がその内容を話し始めました。「おやっ」と思いながらも特に異論もなかったので、「そういうことです」と。

 

 すると、翌日の記事は、記者が電話口で話したことが記事になったといいます。電話でやり取りをすると、記者が書きたいことがおよそ出来上がっていて、それに誘導されることがあります。このケースは、不祥事の当事者ではなく、識者としのコメントですが。

 

 これが不祥事の当事者なら大ごとです。思い描いたコメントが取れないと、聞き方を変えるなどして、何度も聞いてくることが記者にはあります。根負けして「まあ、そんなところです」などと安易に答えると、それが記事になる。

 

 広報担当者はこうした事態は絶対避けなければなりません。回避策の一つは不祥事やスキャンダルといったネガティブテーマは電話取材ではなく、回答を書面で行うことです。

 

 これなら「言った、言わない」といったトラブルになることはないし、「書面にある通りです」と記者にも伝えられる。特に面識のない記者や媒体には有効です。

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