インタビューをしたからといって必ず記事になるわけではない
■すき間時間のインタビュー設営
CEOが来日するので、「インタビューの設営を」というオーダーを、クライアントである外資系企業の広報担当者からPR会社が受けることがあります。初来日だったり、日本市場への参入だったり、大物CEOなら、それなりの話題性もあるので、それほど困難なミッションではありません。
ところが、来日の主目的は別にあって、すき間時間の穴埋めのためというケースも少なくない。新任の広報担当者もCEO来日という事実しか知らされていないので、「さぁ大変」と右往左往するばかり。目新しいネタがあるかどうかすらわからないし、知るすべもない。それでも、本社の意向に逆らえるはずもなく・・。
そもそも、スケジュールを埋めるためにインタビューを入れるぐらいだから、大した話は出てこないということは想像できます。だったら、「わざわざやらなくてもいいんじゃない」とも思いますが、広報担当者の立場的にはそうもいかない。
頼むほうも頼むほうだが、頼まれる記者もこういう”難題”には頭を抱えるといいます。読者あっての記事なので、企業の都合のいい話ばかり聞いても仕方がありません。
■インタビューをしても記事にならないこともある
記者も「人の子」ですから、頼られれば、何とかこたえたいと思うのが人情。筆者の経験でも、(高望みをしなければ)ほとんどの場合、記者は快くインタビューを引き受けてくれます。しかし、記事になるかどうかは別問題。じっくり取材してもらって、それなりに中身のある内容だったとしても記事にならないこともある。
「そういうこともありうる」とわかっていないと、「取材したんだから記事にするはず」と勝手に思いこんでしまう。中には、「記事はまだですか?」と記者の事情も顧みずに、連日のように電話攻勢をかける会社もあると聞いたことがあります。
「インタビューをしたからといって必ず記事になるわけではない」ということを意外に知らない広報担当者が多い。記者も記事にしようと思って、取材に臨むはずですが、「話の中身が薄い」とか「記事にできそうな紙面がない」とか。記事にしない理由も様々です。
外資系企業の幹部に情報雑誌の記者がインタビューを行った場に立ち会ったことがあります。ただ、その内容は明らかに中身のない薄っぺらなもの。「どこをどう切り取ったら記事になるんだろうか」というインタビュー。案の定というべきか、掲載されることはありませんでした。
外資系企業CEOと経済雑誌の記者とのインタビューでは、終了後に申し訳なさそうに、「いい話を聞けたんだけど、紹介できる紙面がない」と言われたこともあります。また、日本を代表する経済紙とのインタビューでは掲載はされたものの、掲載まで3か月以上かかったこともあります。(なので追加取材がありました。)
■媒体ありき?、それとも話せる内容ありき?
どちらのケースも間に入ったものとしては、最低限のノルマは達成したという思いではありますが、「まれにこういうこともある」ということは知っておいたほうがいいでしょう。媒体ありきだと得てしてこういうことが起こります。
そうならないためには、「事前にどんな話ができるのか」、「新たなネタを提供できるのか」ということをまずはリサーチしておくことです。インタビューしてもらう媒体の選定はそれからでも遅くありません。