飲食業界と新聞業界の意外な共通点
■飲食業界と新聞業界の意外な共通点
少子高齢化が進み、お酒を飲まなくなった若者が増えている風潮も手伝って、飲食業界も厳しい状況にあるといいます。市場規模は、「1997年の29兆円をピークに下がり続けて、現在はおよそ2割減の23~24兆円」。
1997年がピークといえば新聞もそうです。日本新聞協会のデータによれば、この年の発行部数は5376万部でしたが、2015年は4425万部。これも約2割の減少。示し合わせたわけでもないのに、飲食業界と新聞業界が同じように下降線をたどっていることになります。しかも、再浮上する見込みはどちらも薄い状況。
大手外食チェーンなどに比べると、資金力の乏しい小規模の飲食店は宣伝にかける予算はそもそもわずかです。なので、低コストで始められる広報と飲食店の相性は悪くないし、もっと活用すべきと思っていました。
最近読んだ「取材に来る店」(2013年)という本にも、「宣伝より広報」が有効だとありました。広告やチラシに頼るとかえってお客さんから敬遠される。評判づくりには、広報や口コミがおススメと。この本では著者が雑誌の編集者ということもあってか、「お店の広報は雑誌に限る」と断言しています。
確かに、グルメ雑誌や情報誌には思わず行きたくなるようなお店が「シズル感」満載の写真付きで登場しています。それを売りにした雑誌なので、編集者のお眼鏡にかなったものしか記事にならない。だから信頼性も絶大。
自分のお店がこうした雑誌に載るのは「そもそも無理」とあきらめずに、アプローチを図ることを提案しています。特に、開店してからそれほど時間が経過してなければ、「新規オープン」の編集者にコンタクトすることがいいようです。とはいえ、お客さんにどのような価値を提供できるのか、という軸がぶれずに実践できているかが前提になります。
■「新聞で実績を積んでからでも雑誌は遅くない」
本の著者は「雑誌ファースト」を提案していますが、そもそもハードルが高いうえに、首尾よく取材してもらっても掲載は2、3か月後。その点、新聞は足が圧倒的に早い。
雑誌同様に取材意欲をかきたてる「何かが」なければいけませんが、それがあるなら、雑誌同様の一本釣りスタイルのアプローチ法もあるし、プレスリリースを作って配ってもいい。「新聞で実績を積んでからでも雑誌は遅くない」と筆者は考えます。
ちなみに、この本では、飲食店の「べからず集」として、「雑誌の掲載されたページを店先に出す。もしくは店内に貼る」があります。「良い店、流行っている店ほどそんなものは貼っていないと。後、「イタリアン、フレンチのお店で国旗を掲げている店によい店なし」とも。なかなか興味深い指摘です。