テレビのネタのヒントに大いに活用されている媒体とは?
■ネタを取るのは簡単ではない
記者はいわゆる「独自ネタ」、つまり自社を含めてどこも取り上げていないニュースが大好物です。しかし、いくら大好物でもそうたやすく入手できるものではありません。先日のブログでも紹介したように、情報発信側からの「発表ネタ」による記事は8割を超えることからもわかります。
記者の苦労を知らないと「ネタなんて根気よく探せばいっぱい転がっているんじゃない?」などと無責任なことをつい思ってしまいますが。彼らの人知れない苦労は、折に触れて聞くことがあります。「夜討ち朝駆け」といって、担当業界の企業経営者や所轄の警察署の刑事の自宅に出向くのもそうした苦労の一つです。
「これは!」というネタにせっかく出会っても、すでに他が取り上げたとわかると、急にモチベーションが下がるということもあるし、追いかけていたネタを他社が出し抜かれたりすることもある。ストレスとの闘いが強いられる仕事です。
ネットワークを広げ、耳より情報を入手して、それを記事にする記者も大勢いますが、取材にばかり時間にかけられないという現実もあります。それは「日々〆切に追われている」からです。しかも、突発的なニュースが飛び込んできたら、その対応にもあたらなければならない。そう考えると、独自ネタをつかむのがいかに大変かということが分かります。
■ライバルでなければ取材のヒントに大いに活用
テレビ同士とか新聞同士だと、すでに取り上げられたネタだとモチベーションが下がるのは事実ですが、テレビが新聞や雑誌から取材のヒントを得ることはよくあります。そこで得たヒントを元に、他の情報も加えて独自の味付けにしたり。
特にテレビはマンパワー不足が常態化しているので、取材に割ける時間はさらに限られます。なので、全国紙や産業紙はもちろん、自分が担当する業界の専門紙もネタ探しのためにチェックしているはず。旅や飲食店を紹介する番組なら、雑誌が貴重な情報源です。
筆者がかかわった案件でも、地方紙に掲載されたニュースがきっかけで総合週刊誌に取り上げられたり、産業紙がきっかけでテレビが取材に来たりといった事例があります。これらの媒体を侮ってはいけません。
日経MJや日経産業新聞のような産業紙、あるいは業界紙もそうですが、ネット上で記事を無料で閲覧することができません。特定の人にしか読まれていないものです。たとえ、それをネタ元にしても、切り口を変えたりして工夫すれば、「心がとがめる」ことは少ないはずです。