広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

雑誌の図書館「大宅文庫」に行ってみよう

■「大宅文庫」を知っていますか?

 立花隆が書いた「『知』のソフトウェア」(1984年)を読み返していたら、雑誌の図書館「大宅(壮一)文庫」について書かれていました。生前の遺志で評論家の大宅壮一氏が集めた膨大な雑誌を元にして、亡くなった翌年の1971年に、自宅跡地に開いた世田谷区八幡山にある図書館です。

「知」のソフトウェア (講談社現代新書)

 

 本によれば、分類法が6千種類あり、人名と件名の両方で検索が可能。「図書館の十進分類法などとは全く無縁の独特の分類」。利用機会がこれまでなかった場所ですが、マスコミ関係者がよく利用する所なのは知っていました聞き及んでいました。

 

 これを読んで、「大宅文庫」が赤字で苦しんでいるという、朝日新聞の2週間ほど前の記事を思い出しました。出版市場の縮小やインターネットの普及のあおりを受けて、来館者が減少し、4月から資料のコピー代を約15年ぶりに値上げすることに。

www.asahi.com

 

 当初、20万冊だった蔵書も出版社の寄贈で年々増え、現在は、明治以降の雑誌約1万種類、77万冊を収蔵。分類は7千種類に増え、人名も約14万人分の検索が可能に。それでも、「これまで赤字分は積立金を取り崩して運営してきたが、来年からはデータベースの改修も始まり、初期費用と5年間の維持費に1億4600万円が必要」と厳しい状況にあるそうです。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

■月1回のバックヤードツアーをやっています

 最近は、公立図書館の検索システム「東京マガジンバンク」や、民間企業でも雑誌記事の検索ができるサービスなどがあります。情報収集の方法はインターネットの普及で多様化しているので、わざわざここに行かなくても必要な情報は得られる、という意識が働いているのでしょう。

 

 利用者増を狙って2年前から、無料で書架を見学できる「バックヤードツアー」を月1回(第二土曜日)実施しているらしい。大宅文庫のHPによれば、4つの特典があります。

公益財団法人大宅壮一文庫

  1. 大宅壮一の書斎」で鉛筆書きの「手書き原稿」を執筆デスクに腰かけてご説明します。
  2. 珍しい雑誌、著名な雑誌を紹介しながら書庫をご案内します。
  3. 雑誌記事索引データベースを自由に検索。検索のコツも伝授します!
  4. 雑誌を10冊無料閲覧できます。

 

 大宅壮一氏の三女で評論家の大宅映子氏は、「手間をかけて雑誌を調べ、索引を作っている文庫では、目的に合う雑誌を的確に探し出せる。実際に雑誌を手にすることで思いがけない情報との出会いもある。常識の幅を狭くしないためにも一度足を運んで」とのコメントを寄せています。

 

 便利な時代だからこそ、必要な情報を見極めたり、新たな発見を得るには、それなりの労力が必要です。立花氏は、「日本が世界に誇ることができる文化施設の一つ」、「こんなライブラリーは世界のどこにもない。なにしろ集められているものがユニーク」と絶賛しています。

f:id:yhkhashimoto:20151028152550p:plain