有名無実化しそうな「通訳案内士」
今年の4月に赤坂の迎賓館が国賓・公賓の宿泊やおもてなしなどに支障のない限り、通年で一般公開され、人気になっているという記事を以前読みました。国交省の資料によれば、前庭については、人数制限のない自由参観ができます。また、本館・主庭については、事前申込制と当日受付制を併用すると。
京都にも迎賓館がありますが、ここも「7月下旬をめどに」通年で一般公開される運び。このほか、首相官邸や皇居なども見学のチャンスが今後拡充する予定だといいます。
国会議事堂の見学で感じましたが、普段足を踏み入れることのできない場所に入るのは、貴重な経験になります。何事も「百聞は一見に如かず」なので多くの施設が公開・開放されるのは、大いに歓迎すべきこと。
日本人はもちろん、増え続ける海外からの観光客の多様なニーズを取り込む狙いといえそうです。最近、今年の訪日外国人が1000万人を超えたことが報じられていましたが、4年連続の1000万人突破で、去年よりも1か月以上早い、過去最速のペースです。
■有名無実化しそうな「通訳案内士」
外国語を使って有償で外国人観光客をガイドできる「通訳案内士」という資格があります。この資格がないとお金をとって、ガイドをすることができません。
しかし、政府は急増する観光客に、このままでは対応しきれないと判断、業務独占規制の廃止を盛り込んだ、規制改革が来年以降に予定され、法律を見直すことで人材確保を図ろうとしているといいます。
その是非はともかく、筆者を含めこれから取得しようかと思案している人にとっては“冷や水”であるのは間違いありません。
通訳案内士は全国に2万人弱いるそうですが、実際にガイド活動しているのは、その1割未満。「食える仕事」ではないことが大きな理由です。人材の確保には「食える仕事」にするための各種整備をしないと、この資格がますます意味のないものになってしまいます。