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広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。

お辞儀はほどほどに長く、経営に関わるリスクのトップへの報告はできるだけ早く

危機管理 広報・メディア プレスリリース 記者会見

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■どの会社にもリスクが降りかかる可能性はある

 企業の不祥事や事故などが後を絶ちませんが、同じような事態に巻き込まれる可能性はどの会社にもあります。従い、日ごろからの備えや未然の防止策を抜かりなく行っておかなければなりません。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 そのための一つに事件や事故といった緊急事態を想定したシミュレーショントレーニングがあります。その企業で起こる可能性のある事故の台本を事前に作って、それが実際に起こったものと想定して、プレスリリースや想定問答を作成、謝罪会見も含めて疑似体験するものです。

 

 演習や模擬記者会見の前に、危機対応における広報活動の重要性などのレクチャーを含めることもあります。企業によっては、こうしたトレーニングを工場単位で定期的に行うこともあります。謝罪会見の様子はビデオで撮影し、会見終了後にレビューが行われます。

 

 模擬とはいえ、謝罪会見です。記者役の厳しい質問も本番さながらのものなので、説明者が肝を冷やして、しどろもどろになったり、不用意な発言をついしてしまったり。そうした場面を何度も見てきました。トレーニングですから、いくら失敗してもいいし、気後れすることもない。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

■お辞儀の「5秒ルール」

 会見は必ず2回行います。レビューを通じて指摘された改善ポイントや説明者自身の気づきが2度目に反映されるからです。事実、格段に1回目より良くなるのが常です。模擬記者会見の現場にはこれまで、幾度となく立ち会いましたが、トレーニング終了後の意見交換の場で、参加者のほとんどが、「やってよかった」という感想を漏らします。

 

 先月の14日に旅行代理店大手のJTBが、最大で約793万件の個人情報が流出した恐れがあると公表し、謝罪会見を行いました。これに出席した記者による興味深い記事がありました。

記者の眼 - JTBにはがっかりした、社長の謝罪会見で記者が感じた違和感:ITpro

 

 記者会見で感じた二つの“がっかり”ポイントを挙げています。最初はお辞儀。会見に出た社長が下げた頭をさっと上げてしまったから。カメラマンにとって、謝罪会見では関係者が「申し訳ございませんでした」と頭を下げるところが最大のシャッターチャンスであることは周知の事実。

 

 トレーニングでも、「申し訳ございでした」のタイミングで頭を下げ、その状態を5秒間維持するように勧めていました。謝罪会見における「5秒ルール」について、記者も同様に感じたようです。

 

■経営トップへの報告はできるだけ早く

 もう一つは、社長が問題発覚を知ったのが遅すぎること。記事によれば、「記者の想像以上に時間がかかっていたと知った時」を決定的な“がっかり”ポイントとしています。

 

 同社のセキュリティを監視する協力会社から「外部への不審な通信が出ている」との報告を受けてから約2カ月後、攻撃者がCSVファイルを作成したと分かってから1カ月半後のタイミングだといいます。

 

 情報漏えいの事実や分析に時間がかかったことは想像できるものの、日本年金機構やベネッセの情報漏えいの事例を引きながら、同社が「サイバーセキュリティを経営リスクとして捉えきれていなかったこと」に大きな問題があると指摘しています。

 

 「お辞儀はほどほどに長く、経営に関わるリスクを社長に報告するのはできるだけ早く」。どの業界にも共通する鉄則だと改めて感じます。人命を左右する問題に比べ、軽視されがちなセキュリティリスクですが、セキュリティリスクのシミュレーショントレーニングも必要性が高まるかもしれません。