本を読んだり、セミナーに出席して得たせっかくの知識を活かせない三つの理由
■得た知識をなぜ活用できないのか?
本を読んだり、セミナーに出席して得た知識を応用して、仕事や普段の生活に活かそうと思っても、なかなか身につかないということがあります。せっかく得た知識なのに、すっかり忘れてしまって、「そういえばそんな本もあったな」という経験は、筆者も一度や二度ではありません。
「なぜ、ノウハウ本を実行できないのか?」(2009年)という本に、得た知識や気づきを、行動に移すための秘訣が書かれています。行動に移せないのには、三つの理由があると。
一つ目は「情報過多」。新しい知識を得るということは、以前に得た知識が同時に消えてしまう。いくら知識欲が旺盛でも、覚えた端から忘れてしまうのも、習慣の一つだと戒めています。
二つ目は、「ネガティブなフィルター装置」。知識を増やし、新しい知識を得ることができても、ネガティブな考え方が、その知識の活用を阻害してしまうと。どうせ自分には無理とあきらめてしまうから身につかない。
そして三つ目は、「フォローアップの欠如」。喫煙者とタバコの関係を引き合いに、やめられないのは難しいから、と。習慣や行動を変えるには集中して取り組まなければならないが、フォローアップが不十分だと挫折してしまう。
■得た知識の活用には「反復」あるのみ
この三つの行動に移せない理由を踏まえて、得た知識を活用するには、「一にも、二にも、三にも、繰り返すこと」、つまり「反復」しかない。反復が、「知識を活用できない理由をすべて排除するカギ」だと断言します。
情報過多への対処法は、「多くの本を読むより少数の本を完全にマスターする」ほうがいい。間隔を置きながらひたすら反復する、間隔を置いて再び注意を向ければ思い出す。
さらに、「学んだことをもっと多く身につけるには、とらわれない、ポジティブな心で耳を傾ける」こと。「ポジティブな心を持つことが、成長する一番の方法です。いい土壌にまかれた種は、何倍ものものを生む出す」。
本の中には「青信号思考」のことも書かれています。ミーティングで、ポジティブで創造的な意見が出尽くすまで、ネガティブな考えは差し控えること、一対一の話し合いでも可能性を求める考え方が必要だといいます。D・カーネギーが、同様のことを唱えていたことを思い出しました。
■ 「成功する人々は、学びたいと熱望するとともに、学ぶためのプランを持っている」
三つ目の対処法は、「行動を変え、望むような結果を得るには、仕組みとサポートと説明責任が必要」だと説きます。「フォローアップの欠如」は最も手ごわい障害物だと認めているように、「だからこそプランが必要」。
「成功する人々は、学びたいと熱望するとともに、学ぶためのプランを持っている」という言葉が紹介されています。一方のフォローアップするリーダー側の心得でも気になる言葉がありました。「教える、やって見せる、それをやらせる、見守る、上達をほめる、または方向を変えさせる」です。
太平洋戦争で連合艦隊司令長官の山本五十六の言葉を思い出します。
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」