タレントの知名度を借りずに記者発表会の集客を高めることはどこまで可能か?
■「新商品発表会にどのくらいメディアが来てくれるか?」
新製品発表会というと、有名ホテルの会場を借り、有名トレントを呼んで盛大に行うものから、こじんまり行うものまで様々。会社の知名度や業種、そして商品の話題性などに応じて、かけられる予算も違ってきます。
こうした時にPR会社に応援を頼むケースが往々にしてあります。自社にマンパワーが足りなければ、こうしたサポートも有り難いと感じることもあるでしょうが、それだけ費用もかかります。
「新商品発表会にどのくらいメディアが来てくれるか?」ということを考えた場合、名の知れた大企業でも30名も来ればかなり上出来の部類です。100名近くのメディアが集まる記者会見を経験しましたが、このときは新商品ではなく、重大な経営マターの記者会見。
大掛かりな会場を押さえているケースでも、関係者やメディアではあっても広告局の人で、報道の人ではなかったりすることもあります。かなり前に都内の高級ホテルで行った発表会に関わりましたが、100名ほどの出席者がいながら、その9割がこうした関係者だったということがありました。
■タレントによる集客効果
ちなみに、20~30名というのは、タレントを呼ばないケース。これに著名タレントが加われば、テレビやスポーツ紙、そしてウェブメディアの芸能ニュース担当の記者が加わるので、さらに上乗せが期待できます。
タレント効果でメディアがより多く集まるなら、こちらの目論見通りです。ただ、自社のことや新製品のことはほとんど触れられず、タレントだけに焦点があたってしまうこともあります。発表会が華やぐし、話題性が上がる効果が期待できますが、いい面ばかりとも言えません。
■ 「タレントの知名度を借りずにどこまでメディアを呼べるか」
最近行われた保険会社の新商品の発表会では、イケメン俳優とお笑いタレントの男女が登場していました。
大半の記事には社名はありましたし、新商品について触れている記事もありましたが、その中の記事の一つに、新商品はおろか、単に「保険会社」とだけ書いてある記事がありました。これでは、何のためにタレントを起用したのかわからなくなってしまいます。もちろんタレントには何の罪もありませんが。
それでもタレントを起用した発表会が後を絶たないのは、タレントを呼ばないと話題になりにくいと関係者が判断したからという理由が大きい。特に一般消費者向けの商品やサービスの場合、タレントの知名度を借りて、記事として取り上げてもらって、話題性を高めたいという意図はよくわかります。
ただ、記者とのコミュニケーションを密にするなどして、「タレントの知名度を借りずにどこまでメディアを呼べるか」という点に、思案をめぐらした後での判断でも遅くないと考えます。