ソーシャルメディアと「(自称)影響力のある第三者」
■影響力のある第三者?
ソーシャルメディアを活用したマーケティングは、その大小を問わず多くの企業で導入されており、成功事例も見聞きします。その中で、“影響力のある第三者”がその企業についての投稿を行うことで、認知度向上を図っていく手法があります。ブロガー向けのイベントがその一つの例といえます。
こうしたイベントに招待されたブロガーは、後ろ向きな書き込みはしにくいでしょうから、どうしても恣意的な表現になりやすい。もちろん、普通に「よかった」とか「おいしかった」といった素直な感想も多いのでしょうが。
1つの投稿に何百も「いいね!」がコンスタントにつくという、影響力のある第三者の投稿を通じて、自分たちのFacebookページへの誘導を図るというサービスの説明を受けたことがあります。
こうした“いかにもな”記事を、読者がどこまで真に受けるのか(リンクを踏んで当該サイトへの誘導が図れるのか)、そして、そうした投稿ばかりしている人が果たして「影響力のある第三者」とそもそもいえるのか、という二つの疑問は最後まで消えませんでした。
その一方で、ポジティブな感想をSNSで投稿した有名人のおかげで「急に行列のできるお店になった」、という話も実際に聞いたことがあります。
影響力のある第三者による効果という点で、上記に似ていますが、店側から便宜を図ってもらったことの見返りではなく、友人と楽しんだ夕食についての個人的な感想を投稿したという点で、大きく異なります。
■ネットリテラシーを高めよう
夕食に関する逆のケースもあります。「ソーシャルメディア炎上事件簿」(2011年)を読んで知りました。著名な経済評論家が、友人と都内の高級レストランに来店しました。それを知ったレストランの店員が、その経済評論家を誹謗するツイートを行いました。
それを偶然本人が知り、ネガティブツイートをした本人やレストランに対し、「お客を貶める感想をツイートするのは問題」と返しました。まっとうな主張ですが、これがきっかけで多くの人にレストラン側の不備が知れ渡ることになりました。
レストラン側の迅速かつ丁寧な謝罪で、それ以上の騒ぎにはならなかったようですが、店員のツイートを放置していたら、さらに深刻な問題になっていたかもしれません。この事例以外にも、店員などによる不用意ツイートが断続的に問題になっています。
若気の至りといえばそれまでですが、無責任に吐き出した誹謗ツイートを「渋谷の交差点でボードに書いて掲げることができる?」と考えてほしい。しかもネットの場合、一度掲げたボードは二度と下すことができないということを。