小規模事業者持続化補助金を広報活動に活かそう
■広告に比べて認知度の低い広報
製造業を営む零細企業の経営者と話す機会がありました。先代から引き継いで、その会社を半世紀近く守ってきましたが、「取引先との関係は良好だが、コスト削減の要求も厳しく、利益率も低いのが悩み」と漏らしていました。
小さな会社ながら、技術力には長年定評があり、安定した高精度の品質が長い取引先との円滑な関係を支えてきたようです。しかし、社長さんご自身も、いつまでもそれに甘えているわけにもいかないと危機感を抱いており、「新たな販路開拓が当面の課題」だといいます。
最近開発した新製品を突破口にしたいと意気込んでいました。広報活動が十分できると感じたので、そのように申し上げたら、「新聞に『広告』を載せるとずいぶんお金がかかるんでしょ?」と。「広報」について提案したつもりだったんですが。
広告との違いなどを改めて、説明しましたが、図らずも広報の認知度の低さを思い知らされました。考えてみると、社長さんの反応はごく自然なことかもしれません。筆者自身も事業会社の広報担当者に異動になる前は、営業部門にいましたが、その時には、広報のことは何一つ知らなかったので。
営業の頃は、自分の会社がたまに新聞記事になっているのを読んでも、「どういう経緯で記事になったんだろう」ということに、そもそも考えが及ばない。社長さんのリアクションは、広報担当者になる前の自分を思い出しました。
■知られなければ存在しないのと同じ
ただ、今の情報過多、そして情報選択の時代に、「知らなかった」では済まされない事情もあります。社長さんにも「知られなければ存在しないのと同じです」とやや厳しいことを申し上げました。
経営計画に基づいて実施する販路開拓等の取り組みに対し、原則50万円を上限に補助金(補助率2/3)が出る「小規模事業者持続化補助金」という国の制度があることを最近知りましたが、そういうものを広報活動に活用するのも一つの方策です。
You can’t do business sitting on your ass.という言葉があります。つまり、「じっとしていても商売はできない」ということ。じっとしていても、マスコミに登場機会が得られることはありません。