記者会見での不用意な発言を避けるために大切な二つのこと
■社会部の組織
例えば工場火災のような事故が起きたら、地元の警察や消防に続いて、マスコミが駆けつけます。この多くは社会部に属している記者たちです。社会部の記者は事件、事故をメインに扱う部署だからです。
社会部での記者経験の長い、共同通信の方に話を伺ったことがあります。印象に残る事件を三つ挙げていましたが、どれも企業がらみの不祥事でした。それだけ、繰り返されるということの所作でしょうか。
共同通信の東京社会部の場合、各省庁を担当する記者と遊軍記者に大別され、総勢で100人程度の陣容だといいます。遊軍とは、大きな事件などが起きた時に、機動的に動ける記者たちのこと。共同通信の東京社会部にも20人ほどの遊軍がいるそうで、省庁などで経験を積んだベテラン記者が配置されています。
次いで警視庁と司法を担当する記者がそれぞれ10人ほど。省庁を担当する者は事件系と行政系に分けられます。事件系の代表格である警視庁には方面担当が8人(+キャップとサブキャップ)おり、それぞれのエリアの警察署を管轄している。司法では、検察と裁判に4人ずつ分かれていると。
このほか法務省、防衛相、国税庁、国交省などの省庁に配置。気象庁を担当する記者は、地震、噴火、水害などの災害はここで担当しています。行政系では厚労省、文科省、環境省、東京都庁など7か所に配置しているそうです。
■「ポケモンGO」を社会部と経済部はどう書き分けるか?
企業の広報担当者が頻繁にやり取りをするのは経済部(日経なら企業報道部)の記者。同じ事件・事故でも関心も違うし、担当する紙面も異なります。
社会現象になっている「ポケモンGO」なら、ゲームが与える社会的な影響、例えば「それによってわき見運転が増え、事故が起きた」というような事象を社会部が追います。
ポケモンGOトラブル続出…夢中になり脇見運転など違反727件 ― スポニチ Sponichi Annex 社会
一方の経済部の記者は、「限定的」だと発表された業績への影響や株価の動向、ゲームが与える経済効果、他社とのコラボなどに関心が向かいます。
【ポケモンGO】任天堂株がストップ安 関連銘柄も総崩れ…ポケモン相場、終わった?(1/2ページ) - 産経ニュース
■危機発生時に大切なこと
不祥事の取材にあたる場合、社会部の記者は市民を代表しているという意識が高く、「企業は何かを隠そうとしているもの」と考えています。企業などが行う謝罪会見で厳しい質問を投げかけるのはそうした理由からです。
厳しい質問につい、「法律にのっとっている」とか「私は寝ていないんだ」という不用意な発言をして、記者たちの態度を一気に硬化させてしまうことがこれまでありました。不用意な発言を避けるには「準備」そして「リハーサル」以外にありません。
危機が起こったときの対応として、起こしてしまったことへの真摯な謝罪、発生した原因の徹底調査と改善策の提示、そして責任の所在の明確化が重要です。言い換えると、「謝罪、調査、原因究明、改善、処遇」ということになります。
これを「『社長限界でしょ』と覚えておくといいよ」と聞いたことがあります。