広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

第三者的な視点で外の空気を中に伝え、時には、耳の痛いことも伝えなければいけない

社会的な影響が軽微な事件・事故の場合のマスコミ対応

 社会的な影響が軽微な事件・事故だと社内で判断された場合、マスコミへの情報発信はどうすべきでしょうか。「コンプライアンスも大事だけど」とか、「話をおおごとにしたくない」という判断は理解できます。

 

 表沙汰になる可能性が低ければなおさらです。しかし、過去の不祥事発覚の経緯を見てわかるように、内部告発によって発覚することもあります。一度公になってしまったら、「不祥事を隠ぺいしようとした」としてマスコミの厳しい追及にさらされることになります。公になるかもしれないリスクとどうバランスするかがここでは最も大事なことです。

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 「話を大事にしたくない」といった社内の理屈から一歩離れて、第三者的な視点に立つと別の見方ができるかもしれません。会社を刑務所、社会を“シャバ”にたとえると、「広報担当者は見張り番のようなもの」だ、という話をマスコミの幹部の方が話すのを聞いて「なるほど」と思いましたが、ここでもその視点が重要です。

 

 つまり、「第三者的な視点で外の空気を中に伝え、時には、耳の痛いことも伝えなければいけない立場」、それが広報担当者です。第三者的な視点は「社会の視点」と言い換えることができます。

 

 これまで、危機管理広報の指南本はこれまでそれなりに読みましたが、最近読んだ「企業不祥事が止まらない理由」(2008年)は具体例のほかに、マスコミ関係者のコメントも多数掲載されていて参考になります。

企業不祥事が止まらない理由

 

■隠して後悔しないために

 隠して後悔することになるよりも、発表方法を工夫すべきです。事件・事故というと記者会見が定番のように思われますし、会社の姿勢を示すうえでも、そのようにすべきケースが大半でしょう。

 

 しかし、会見を行うほどの問題ではなく、「影響が軽微」なのであれば、リリースを配布し、広報担当者が対応するやり方もあります。そしてリリースをホームページにももちろん掲載する。

 

 ここで注意したいのは、心配なら「社内の一部関係者だけで判断するのを避ける」ということです。広報担当者に第三者的な視点が必要なのは前述の通りですが、そうはいっても「言うは易く行うは難し」の面も少なくありません。

 

 そこで、「社外の信頼できる専門家の意見を聞く」ことをおススメします。これなら、耳の痛いことを経営幹部にいうことをいとわないだろうし、経営幹部も素直に聞く耳を持つ場合が多いからです。

 

 以前、「企業が正しく謝罪する方法」について、雑誌からの引用として、4つの判断ポイントがあることを紹介しましたが、改めてここでも記しておきます。

  1. 被害があったか。
  2. 事業の根幹にかかわるミスか。
  3. 一般大衆がどう反応するか。
  4. 会社が本気で変わるつもりがあるか。

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