短期的な成果に踊らされない広報活動のすゝめ
■クライアントとメディアの間の「潤滑油」
広報活動をクライアントになり替わって行う会社を、PR会社とかPR代理店といいます。広報の重要性が徐々に高まってきた1960~70年代に日本でこうした会社が誕生しました。その役割や業務内容は、時とともに多少変わっていますが、クライアントとメディアの間の「潤滑油」としての機能は今も昔も大きく変わりません。
クライアントとメディアの間に立って、双方が良好な関係を築けるように心を配り、記事につなげていくことが求められます。近年では、記事化に成功したり、テレビで取り上げられることで、「成功報酬」を手にするPR会社もあるといいます。
成功報酬なので、放映や掲載がなければもちろん費用は発生しません。その代わり、めでたく取り上げられたら、その露出に応じて、費用が加算されることになります。一つの記事でいくらなのか、記事のスペースや番組で取り上げられた時間を広告に換算して、算出するのか知る由もありませんが。
■PR会社が成功報酬を導入する場合の問題点
「取り上げられれば何でもいいのか?」というのが成功報酬の最大の問題点です。仮に、記事の内容や番組での取り上げられた方は問わないのだとしたら、クライアントにとって不満が残る場合も出てきそうです。
ある商品を番組で取り上げてもらおうと画策し、放映される運びになったとします。ところが、ライバル会社の商品も一緒に取り上げられて、そちらの方が目立つような番組内容だったとしたら、取り上げられた喜びも半減してしまいます。しかし、自社商品が取り上げられたことには違いないありません。
それだけならまだしも、ネガティブな記事が取り上げられた場合でも、成功報酬の対象になるのか、という疑問もあります。おそらくサービスを提供するPR会社も、そういうことがないようにしながら、露出獲得を目指すのでしょうが、自分たちの思惑通りに物事が運ぶ保証はどこにもありません。
逆に、日経MJやグルメ雑誌などのような、番組制作の関係者がネタ探しによく使っているメディアに首尾よく掲載がかなって、それがきっかけでテレビ放映につながるようなケースもあります。余計なお世話ですが、これだと労せずして成功報酬を得ることにもなりそうです。
そもそも広報活動は中長期的に取り組むべきものです。例えば、1か月間の短期プロジェクトでも、掲載まで数か月かかるものもあります。短期的な成果に踊らされず、じっくり腰を据えて取り組むのが広報活動の要諦です。