受け身な情報収集が真の情報収集につながることもある
■新聞を読む理由
財団法人新聞通信調査会が2015年10月に発表した調査結果によれば、「新聞を読まない理由」のトップスリーは、「テレビやインターネットなど他の情報(源)で十分だから」、「新聞を取っていない」、「新聞は高い・お金がかかる」です。どれももっともな理由で、「新聞離れ」が進むのもやむを得ないと感じさせます。
そんな中、筆者は新聞一紙を懲りることもなく購読しています。広報という仕事に関わっていることも大いに関係しますが、職場や図書館でも他紙を読むことも多いほうです。
広報という仕事は脇において、新聞を読む習慣がある一人として、「新聞を読む理由」を改めて考えてみました。その理由は「テレビやインターネットなど他の情報(源)で十分だと思わないから」です。一時、自宅での新聞購読をやめていた時期もありますが、長く新聞を読む習慣があるせいか、そのうちに物足りなさを感じ、再開したこともあります。
■「得たい情報」に適したメディアと「得られる情報」に適したメディア
テレビやネットは「得たい情報」には適しているメディアです。自分の関心や興味のある情報などの自ら積極的に取りに行くことができるからです。リアルタイムでテレビを見ることができなくても、気になる番組なら録画することもできます。
また、今年始まったサイバーエージェントとテレビ朝日が手掛ける「AbemaTV」のような動画配信サービスを使えば、見たい番組をパソコンやスマホでいつでも見ることができます。
動画を視聴する時間がなくても、関心領域のニュースや情報をキュレーションメディアが自動的に配信してくれます。Yahoo!のトップ画面を見れば、最新のニューストピックスが一目瞭然で、興味があれば見出しをクリックしてさらに追加情報を入手できます。
このように、自分が能動的に情報を取りに行きたいときには、とても便利です。他方で、無関心なものからますます遠のいていくことにもつながります。「別にそれで構わない」、「それで困る訳じゃないし」という意見もあるでしょう。
ただ、それだと偏った見方しかできなくなるかもしれないし、知的好奇心の幅を広げることも難しいのではないかと思います。受け身な情報収集が結果として、真の情報収集につながることもあると筆者は感じます。それに適しているのが「得られる情報」が満載の新聞です。
新聞にも社論がありますが、それでも、多様な意見を取り上げることが特徴の一つでもあります。識者のコメントや寄稿、そして読者の投書など、一つの事象に対するもののとらえ方が様々であることを、実感できる媒体は新聞をおいてほかにありません。