広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。

オバマ大統領による「謝罪・弁明のスピーチ」が伝えるもの

■言葉で世界を動かしてきた米大統領

 「異端児vs女性初」とか「史上最も嫌われている者同士の戦い」などと形容される、共和党のドナルド・トランプ候補民主党ヒラリー・クリントン候補による米大統領選が11月に雌雄を決します。2008年に就任したバラク・オバマ大統領からバトンを受け取るのはどちらでしょうか。

 

 現職のオバマ大統領はスピーチの名手として知られます。広島で行ったスピーチも多くの人の心を揺さぶるものでした。オバマ大統領に限らず、多くの歴代米大統領は「言葉で世界を動かしてきた」といえます。

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 アメリカ出身でハーバード大学卒のインテリ芸人で、テレビでその姿をよく見かける「パックン」ことパトリック・ハーラン氏による「大統領の演説」(2016年)は、そんな米大統領の名演説の魅力を解説しています。同氏によれば、大統領選の結果は、スピーチによって行方が決まるといっても過言ではなく、それほど重要なものだといいます。

大統領の演説 (角川新書)

 

 リンカーンの「人民の、人民による、人民のための政治」のフレーズで有名なゲティスバーグ演説や「国がなにをしてくれるかではなく、国のためにできることを考えてほしい」と述べたケネディの就任演説といった歴史上の重要スピーチが紹介されています。

 

 レーガン大統領による「チャレンジャー号爆発事故」直後に行われ追悼演説もあります。広島での今年のそれを含め、折々でオバマ大統領が行った名スピーチも取り上げています。

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オバマ大統領の感動的なスピーチ

 初耳の演説も結構ありました。オバマ大統領による「More perfect union演説」もその一つ。まだ大統領候補だったころに、親交のあったライト牧師が、自国を冒涜し、人々を扇動するような発言を教会で繰り返していたことが公になったことで、窮地に立たされた時に行われたものです。

 

 「911は因果応報」、「アメリカは世界一の殺し屋」といった過激な発言の主が、オバマ候補が師と仰ぐ人物だとすれば、スキャンダルになるのは当然です。この時点で、「候補としては終わり」の可能性も高かったはず。

 

 そんな中で、行われたものスピーチです。自らの出自やアメリカが抱える人種差別の問題を述べながら、その感動的なスピーチによって、批判的な声を封じ込めるものでした。

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 パックンによれば、「謝罪・弁明のスピーチ」では、曖昧さやお茶を濁すようなことはせずに、「はっきりと態度で示す」ことが大事だと述べます。その基本がこのスピーチで忠実に行われ、ついに「これって謝罪・弁明のためだったの?」と思わせる内容だったといいます。三つの基本は以下の通りです。

  1. 何をやったのかはっきりと言う。
  2. 相手が受けた心の傷や気持ちを、はっきりと認める。
  3. このさきどうするのか、はっきりと述べる。

 

アメイジング・グレイス演説」

 教会での銃乱射事件に巻き込まれた犠牲者の葬儀でのスピーチも紹介されています。「アメイジング・グレイス演説」といわれるものです。詳しくは本を読んでいただければと思いますが、パックンによれば、「動画を見るときは絶対にハンカチを忘れずに」と。感動的なのは間違いありません。ただ、スピーチ力は傑出していますが、歌唱力は…です。(↓の動画の最後の方です。)

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 スピーチの極意を知りたい人、英語をブラッシュアップしたい人、アメリカ人の考え方に触れてみたい人、米大統領選に関心のある人など、おススメしたい学びの多い本です。

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