記事という成果が社内に好循環を生む
■記事という成果が生む好循環
これまで手付かずだった広報活動を強化したり、ゼロから広報体制を整備したり、しようとしたときに外部の専門家の協力を仰ぐケースが多いと思います。
広告が以前ほど通用しにくくなったことも、広報活動に力を入れざるを得ない要因の一つだろうと思います。広報活動の中で、手始めとして着手しやすいのはプレスリリースです。これまで全くと言っていいほど、リリースを出していなかった会社が、配信を始めると、メディアがその情報を少しずつ拾い上げてくれるようになります。
リリースによって、記事という成果につながり、それが社内で共有されれば、「うちの部署にもこんな話があるよ」とか「この商品をメディアに取り上げてもらうアイデアを相談したい」といった話が集まってくるようになります。
一度好循環が起き出すと、リリースにして配るだけじゃなくて、「どこかに取材してもらって大きく取り上げてもらおう」といった欲も出てくるし、社内の協力者もどんどん増えていきます。
往々にして広報活動というと、ごく一部の社員の専権事項で、自分たちには無関係という意識が働きますが、「記事という成果」を多くの社員が知るようになれば、そうした意識は必ず変わるものです。
■しばらく取材協力してもらっていない人への「ご機嫌伺い」
記者の取材立ち合いで地方に出向き、そこで応対者の横で話を聞く機会は広報担当者なら珍しいことではありません。筆者もよくそうした場に居合わせました。何日か後に記事という成果になって、取材に応対してくれた人にお礼の電話やメールをして、そこでひとまず終了というケースが大半です。
筆者の場合、広報担当者としての仕事が板についてくると、過去に取材協力をしてくれたけど、しばらく音信不通という人に、連絡を取るようにしていました。「その後何か面白話ないですか」とご機嫌伺いをするのです。
特にネタ枯れの時期に重宝します。切り口を変えたり、その後の進捗といった新しい情報を加えたりすることで、十分「通用する」ことが少なくないからです。多くの社員にとって、メディアは遠い存在ですが、一度でも協力してくれた人は、記事という成果を実感しているので、多くの人は喜んで情報提供してくれます。
■記事という成果を変わるきっかけにする
メディア慣れしていないと、「どうせ正しく伝わらない」とか「面白おかしく書き立てるだけ」とか「競合他社を利するだけ」といった先入観があって、警戒感をあらわにすることもあります。取材に協力してくれる多くの人も最初はそうでした。
そうした人たちが変わるきっかけとなるのが、繰り返しになりますが、記事という成果です。広報をつかさどる立場の人は、多くの社員と記事の成果を分かち合う仕組みづくりをしてほしいと思います。それが協力者を増やし、広報に対する社内の理解が進む唯一の近道です。