何かをしたい者と何もしたくない者の違い
■何かをしたい者と何もしたくない者の違い
SNSを企業や組織が使わない「三大理由」というものがあるとしたら、それは、「時間の無駄」、「一文の得にもならない」、「炎上リスク」だと思います。それぞれ一理あるといえなくもないですが、現にそれを活用して成功している会社も多く、単に「できない理由を列挙しているだけ」のようにも感じます。
アラビアのことわざに「何かをしたい者は手段を見つけ、 何もしたくない者は言い訳を見つける」というのがあります。また、アメリカの100ドル紙幣の肖像にもなっているベンジャミン・フランクリンは、「言い訳が上手い奴は、めったに他に取り柄がない」といいました。
こうした格言を引くまでもなく、運用の仕方は企業や組織にあった方法を十分検討すべきですが、「何もしないで放っておく」こと、そして何もしないことに「もっともらしい理屈をくっつける」ことは得策とは思えません。
■「情報発信は漏えいに勝る」
その意を強くした記述のある本を読みました。「情報漏えい 9割はあなたのうっかりミス」(2013年)です。本の中心テーマは、タイトル通り、「情報漏えいがいかにして起こるのか」、「いかにして防ぐべきなのか」といった内容を主に書いていますが、「(大手SNSの)公式アカウントは作るべき」という主張に共感しました。
著者によれば、公式アカウントを作るべき理由は、「情報発信のためだけではなく、複合的な理由がある」とし、その理由を三つ挙げています。第一に「災害時の情報通信チャンネルの確保」、第二に「デマや風評への対策」、そして第三に「炎上対策」です。奇しくもSNSをやらない理由とやるべき理由のどちらにも「炎上」という言葉が出てきます。
さらにこうも述べています。「企業の公式アカウントで、月に数件ほど宣伝広告の情報を流しているだけのものもしばしば見かけます。(中略)見ていてつまらない会社もあります。しかしそれでも良いのです」と。
いざというときに上記の目的のために、いつでも使える状態にしておくのがいいというわけです。とはいえ、著者も「できることなら多くの人が見に来るものでありたいもの」と認めているように、「見ていてつまらない」と思われるより、フォロワーにとって有益な情報を提供できるようにした方がいいに決まっています。
著者が言うようにまさに、「漏えいは自然と起きるもの。漏えいによるダメージを制するには、情報発信の力を利用する戦略も重要」だと感じます。