広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

広報活動に数値目標は必要か

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■広報担当者を悩ます永遠の課題

 多くの広報担当者の頭を悩ませる課題として、「広報活動の効果測定が難しい」というものがあります。経済広報センターが3年ごとに行っている「企業広報活動に関する意識実態調査」の結果によると、アンケートに答えた企業の7割以上がこれを挙げています。

 

 3年おきに発表され、すでに12回を数える調査ですが、自身が事業会社で広報担当者だった90年代後半の頃から、効果測定が「不動のトップ」ではないかと記憶しています。

 

 広報活動の目標設定は、大きく三つに分けられます。第一に「アウトプット目標」(新聞などに報道された文字数、広告価値など)、第二に「プロセス目標」(取材やリリースの件数)、そして第三に「成果(リザルト)目標」(認知度や好感度を3年間で●割上げる)です。中でも「アウトプット目標」にある「広告換算」はよく知られた指標です。

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■問題点も多い広告換算だが、代わるものもない

 記事になったスペースに広告を出した場合に「これだけかかる」というのが、広告換算の考え方です。一口に記事といっても、単独記事から、他社との共同開発といった二社の記事、業界まとめや、あるテーマに応じた業界横断的な記事まで様々です。

 

 記事の内容にも気を配る必要があります。前向きにとらえた記事から不祥事や事故などによる不名誉な記事まであります。当該企業の記事での扱いによって、広告換算を按分したり、ネガティブな記事はマイナスとしてカウントしたり、という話を聞きます。

 

 記事に写真が付けば注目度は大いに高まります。写真があれば、スペース分以上の価値につながるのではないでしょうか。写真付きの記事を、単に「機械的に広告に換算するだけでよいのか?」という疑問もわきます。

 

■広報活動に数値目標は必要か

 広告換算は、一見使いやすい指標だし、社内の関係者に、「前年同期に比べて、広告換算が●%増えた」と報告すると、それはそれで頑張っている印象を与えることができるかもしれません。

 

 ただ、実のところ、「本当にその換算でいいの?」、「当てになるの?」ということを十分に突き詰めているケースは少ないのではないでしょうか。かといって、これに代わる妙案があるわけでもなく、難しいところです。

 

 こうした「当てにならない指標」をあきらめ、数値目標を立てることをあえてしない会社もあります。その代わり、定期的にマスコミに「自社の広報活動に対する評価や意見」について、忌憚のないところをヒアリングして、改善につなげています。これはこれで一つの考え方です。