自分以外の携帯電話番号を何人覚えていますか?
■顔は思い出しても名前が出てこない
ある調査によれば、「人の名前を思い出せないことがある」という経験がある人の割合は8割を超えているといいます。顔は覚えているのに名前が出てこない、という経験は筆者にもありますが、気のせいか、その頻度は年とともに上がっているようにも感じ、何とも残念な気分になります。
「すぐそこまで名前が出かかっているのに、結局名前が思い出せない」そんな現象を心理学用語では「舌先現象」といいます。名前を忘れた本人の前でのこうした経験は少ないとはいえ、第三者の話題になったときに、「あの人の名前何だっけ?」となることが結構あります。
「あの時会った人だな」ということは顔を見て思い出しても、名前が出てこないのは、ある意味自然なことのようです。「人はなぜ忘れるのか」(2006年)によれば、「顔がわかるのは、認識プロセス」で、「名前を思い出すのは、記憶を取り出すプロセス」と脳のプロセスが違うから。
なので、顔がわかって名前がわからないのは不思議なことではない、といいます。試験で答えを書かされるのと、四択問題から答えを選ぶのとでは、後者が正解にたどり着きやすいのと同じ理屈だと書かれています。
名前を忘れた時の対処法もいくつか紹介されていますが、中でも「人がこちらの名前を思い出しやすいようにする」という方法が個人的には最もしっくりきます。久しぶりに再会した人で相手の名前が心もとない場合は、自らを名乗るようにしています。そうすると、相手も同じことをしてくれるのではないかと思うからです。
■自分以外の携帯電話番号を覚えていますか?
そもそも人間の脳の情報処理能力は昔とそれほど変わらないはずです。パスワードや暗証番号など忘れてしまうと困ったことになってしまう情報が増えているように感じる一方で、覚えておかないといざというときに困るのに、思い出せないものの一つに「携帯電話番号」があるのではないでしょうか。
思い出せないというより、覚える気がないというほうが正確でしょうが、周りに聞いても「自分以外の携帯電話番号を覚えていない」という人が、筆者を含めて結構いることに気づきます。携帯電話のアドレス帳機能もあるし、重要な固定電話(例えば自分の親の番号)を記憶している安心感がそうさせるのだと思います。
しかし、急いで連絡したいのに、自分の携帯電話を紛失したり、何らかの事情で相手の固定電話がつながらなかったりした時は、かなり困ったことになることを覚悟しなければなりません。そう感じるようになったのも、一時的に携帯電話を紛失したおかげ?ですが。(苦笑)
緊急連絡先の携帯電話番号を手帳など、自分にしかわからない複数の場所に書き留めておく。当たり前にやっている人からすると、「何を今さら」でしょうが、身をもって実感した生活の知恵です。